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10年後に生き残る新興企業の
サバイバルレートと資金事情
JNEWS会員配信日 2014/8/1

 起業を成功させるまでには、様々な難問が待ち受けている。その中でも大半の起業者が経験するのが、資金繰りについての問題だろう。どんな会社も、最初はスモールビジネスからスタートするが、潤沢な資金があれば、「もっと成功の確率を高められる」と考えるものである。

では実際に、スタートアップ企業のサバイバル・レート(生存率)はどの程度なのかが、米国でも話題になっている。ビジネスの生存率は、業種や業態によっても調査方法が異なるため、一概に言うことは難しいが、米国勢調査から、新規事業所の生存率を追跡すると、創業から5年後には50%、10年後には34%にまで減少している。



米国労働省統計局や中小企業庁が発表しているデータでも、新規事業者の中で、10年後まで存続しているのは34〜36%程度となっている。このことから、事業を10年以上継続できるのは、起業者の3分の1程度とみておくのが妥当だろう。

■米国労働省統計局による新規事業者のサバイバルレート
  http://www.bls.gov/bdm/us_age_naics_00_table7.txt

ただし、ネットやITなどのハイテクベンチャーは、それよりも状況が苛酷になる。ベンチャーキャピタル向けに情報を提供する「CB Insights」の調査によると、時流に乗ったネットビジネスの有望テーマに対しては、投資家からの資金が集まりやすく、創業時に 100万ドル(約1億円)以上の資金で事業をスタートさせている反面、次の資金調達ができない場合には、2年以内に7割の企業が消滅している。

米国ベンチャー企業の成長ステージは、「Seed(シード)」「Early(アーリー)」「Expansion(エクスパンション)」「Later(レイター)」という4段階に分かれており、IPO(株式上場)を果たすまでに、平均で約7年、7800万ドル(約78億円)もの資金が投じられている。しかし、そのステージ途中で投資家からの資金供給が途絶えると、アットいう間に崩壊してしまう。



ベンチャービジネスの本質は、新たな技術や市場を開拓する目的でチャレンジをすることにあるため、サバイバルレートが低くなることは仕方がないが、投資家からの期待が大きすぎると、逆に、独自の個性や強み、特徴などを打ち出すことが難しくなってしまう面がある。

日本は、米国ほどベンチャー企業への投資が活発ではなく、IPOを目指す会社でも、平均3億円前後の資金でやり繰りをしているのが実態。しかし、米国よりも、極端にサバイバルレートが低いということは無く、むしろ、スモールビジネスのほうが善戦している。その理由がどこにあるのかを探りながら、事業の失敗確率ができるだけ低い起業とは、どんなスタイルなのかを考えてみたい。

この記事の核となる項目

 ●1社のみが勝ち残るフリーミアムモデル
 ●ITベンチャー企業の成功確率と失敗後
 ●社内ベンチャー制度による起業の落とし穴
 ●フランチャイズ加盟による成功率と失敗率
 ●ビジネス生存率を高める事業アイデアと柔軟性
 ●脱マイカー世代を取り込むタクシー業界向け集客支援ビジネス

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