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返品保証キャンペーンによる
売上促進効果と返品率のカラクリ
written in 2012/8/6

 日本製品の品質が高いことは世界で評価されている。米調査会社の J.D. パワー・アンド・アソシエイツが、米国内で販売される自動車の“壊れにくさ”を毎年調査、ランキングしている「米国自動車初期品質調査(Initial Quality Study)」の中で、日本の「レクサス」は2年連続で第一位を獲得している。

この調査は、各メーカーの新車(100台)が購入されてからら90日以内に生じた不具合の割合をポイント化したもので、数値が小さいほど「不具合が少ない」ことを示している。それによると、メルセデス・ベンツやBMWよりも、日本車のほうが高品質という結果だ。

《米国自動車初期品質調査ランキング(2012年)》

 

各自動車メーカーは常に性能の向上を目指しており、新型モデルには最新技術を搭載するため、小さなトラブルは意外と生じやすく、不具合がまったく無いクルマは存在していない。それを限りなくゼロに近づけようとするほど割高なコストがかかるため、品質と収益のバランスで、どこに妥協点を見出すのかは難しい判断である。

最近になって言われはじめているのは、日本のように高品質を追求しすぎると、製品の買い換えサイクルが長くなり、逆に、メーカーの収益性を悪化させてしまうという指摘だ。

これは「日本製品ほど品質を高められない」ことの負け惜しみと取れなくもないが、たしかに、日本のマイカー買い換え年数は、10年前には6年だったのが、現在は8年に延びている。さらに、冷蔵庫やテレビなどの家電製品に至っては、買い換えサイクルが10年近いことが、メーカーにとっての足かせになっている状況は否めない。

《家電製品の買い換えサイクル(国内)》

 

消費者にはもっと気軽に買い換えを促せる方法を提示することも重要ではないか。そうした考えから、米国で増えてきたのが、『購入してみて気に入らなければ、気軽に返品してくれてOK』という返品キャンペーンである。

2009年のリーマンショック直後、韓国メーカーの北米ヒュンダイ自動車は、新車を買ってから1年以内に、購入者が失業した場合には、車を返品することができるというユニークな返品保証制度を行っていた。全米中が視聴するスーパーボウルのテレビCMなどで返品キャンペーンを告知したところ、同社の販売台数は24%増加した。

それに対して、実際に車が返品されたのは、キャンペーン開始からの2年間で350台。その間に北米ヒュンダイの販売台数は 年間100万台を達成しているため、キャンペーンとしては大成功を収めた。これに習って、同様のキャンペーンを行う米国メーカーは増えており、返品制度による売上向上の効果と、返品率との関係も研究されている。



返品キャンペーンは、商材によっても反応が異なるため、必ずしも成功するわけではないが、功を奏せば、ブランド力や品質面でライバルより劣る商材でも売上を伸ばすことができるし、新たな買い換え需要を掘り起こすこともできる。では、具体的な返品マーケティングの成功方程式は、どのようになっているのかを見ていこう。

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この記事の核となる項目
 ●自動車返品キャンペーンの販促効果とカラクリ
 ●製薬会社の返品保証によるリピーター獲得策
 ●返品対応の代行とリバースロジステック市場
 ●靴のネット通販にみるビジネスモデルの転換
 ●靴の定期購買(サブスクリプション)モデル
 ●返品商品の再流通ビジネスにおける商機
 ●買い物に失敗した商品を交換するスワップサービス
 ●定期購買制で躍進するサブスクリプションショップの成長軌道
 ●不況と環境から生まれた「スワッピング」の新たな価値観
 ●お金を使わずに“わらしべ長者”を目指すバーターショップ


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