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  シンガポールは新産業を生み出す目的で、若い起業家の育成を積極的に行っている。特に新しいアイデアを考案することに長けた女性の起業を推奨しており、ワークライフバランスにも配慮したスタイルが模索されている。
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シンガポールの起業支援と
英国ワークライフバランスの狙い
written in 2012/5/4

 アジアで経済成長が著しい「シンガポール」でも、スモールビジネスの起業が推奨されている。シンガポール人は自らを「アントレプレナー・ネーション(起業家肌の国民)」と呼び、他の東南アジア諸国からもシンガポールは「テクノロジーと起業のメッカ」と意識されている。

そこに至るまでには、シンガポールの政府が、起業しやすい環境を積極的に整備してきたことがある。その中でも、資金面の支援が厚いのが特徴で、意欲的な起業希望者からビジネスプランを募集して、審査に合格すれば公的な資金が提供される制度は、各所で実施されている。

「National Research Foundation(シンガホール国家研究基金)」はその一つであり、革新的なテクノロジーを開発したいベンチャー起業家に対して、数多くの補助金提供が行われている。また、国立シンガポール大学に設置された起業センターとの連携により、大学生の起業アイデアを競わせる「スタート@シンガポール」というコンテストを毎年実施、優秀者の資金面を支援している。




同コンテストの特筆すべき点は、シンガホール国外からの応募も受け付けている点で、起業意欲の高い世界の若者との関係を深めて「シンガポールで起業させる」という流れも生み出している。そのため、ノミネートされる起業プランも国際色が豊かなものになっている。

たとえば、昨年のコンテストに入賞した「Zimplistic」という、女性中心のスタートアップ企業は、インドの主食である「ロティ・チャナイ」を簡単に調理できるマシンを開発して特許を取得している。パンに似たこの食材は、通常、水と小麦粉を練り合わせて生地を作るため、毎回30分以上の手間がかかる。それでは不便なため、必要な材料をセットするだけで、あとは自動でロティが焼き上がるようにしたものだ。

同製品に導入されているのは、モータ、ヒーター、センサーなどを組み込んだ電子回路や、それを制御するためのファームウエアなどの高度な技術だが、それを商品化して売り込むため矛先として、10億人以上の市場規模があるインドの主食に着目した、わかりやすさが評価されている。



また、シンガポールは女性の起業支援にも力を入れ始めている。女性の起業者は、いまのところ女性人口(18〜64歳)の約6%にあたる2万2,400人。割合からすれば多いわけではないが、ワーク&ライフ・バランスの観点から、子育てをしながら起業をするマムプレナーの育成も重要項目としている。「Zimplistic」のような新製品にしても、女性の発想が無ければ生まれてこない。

Mums At Work (MW) Singapore」は、育児をしながら働く女性に適した職場環境を充実させることを目的とした公的機関だが、その主催により「マムプレナー・オブ・ザ・イヤー・アワード」を行っている。

そこで優秀者として選定されると、シンガポール政府やスポンサー企業からの賞金が与えられるが、審査の基準には、オリジナリティのある新ビジネスを生み出し、財務状況も安定していることに加えて、ワーク&ライフ・バランスが上手に取れていることも含まれる。マムプレナーは、仕事中も子どもと同じ場所にいることが望ましいことから、自宅を仕事場にしていることもプラスに評価される。


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この記事の核となる項目
 ●女性起業家に期待される新市場の創出
 ●女性オーナーによる企業数の推移(米国)
 ●起業支援で国力を伸ばすシンガポールの政策
 ●福祉路線からシフトした英国の女性起業支援
 ●英国で成功しているマムプレナー事業モデル
 ●不自由さが生み出す女性の起業精神の特徴
 ●世界市場を意識したNZマムプレナーの事業モデル
 ●女性の地位向上で求められる、子育て代行のスペシャリスト
 ●残業から副業へ変わるエリートサラリーマンの生計モデル
 ●ダブルインカムを狙った家族法人による副業と家業の作り方
 ●欧州企業が推進するテレワーカー育成と社会保障問題の接点
 ●年収格差の逆境から生まれる女性の知恵と新ライフスタイル


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