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  中国とASEAN諸国との間には自由貿易の協定が結ばれて、輸出入の関税や入出国のビザ取得条件が緩和される見通し。それによって、世界最大の19億人市場が成立することとなり、同じアジアの隣国である日本にとっては、国際ビジネスへの商機が高まっている。
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世界最大19億人の市場を生む、
ASEAN−中国自由貿易圏
written in 2011/2/15

 日本から海外へ向けたビジネス先としては、「中国」が最も注目されているが、実際に中国進出している企業の話を聞くと、近年では人件費の高騰や当局の規制や監視により、自由なビジネスがしにくくなっているという声が多くて、必ずしも、中国ビジネスが有望とは言えない面がある。

「国」という単位で考えると、中国は世界で最も人口が多くて最大の市場という位置付けだが、FTAやEPAによる国同士の提携で形成される“経済圏”という枠組みで見ると、新たな有望市場を掘り起こすことが可能だ。その中でも、日本が注目しておくべきは、ASEAN(アセアン:東南アジア諸国連合)に対する、成長の可能性である。

1960年代に、タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5国が中心となって結成されたASEANは、現在では加盟国を10ヶ国にまで増やして、EU(欧州連合)と、米国、カナダ、メキシコの3国による北米自由貿易協定(NAFTA:ナフタ)に肩を並べる経済圏として注目されている。GDPでは、まだ先進国に劣るものの、人口からみた商圏規模では、EUや北米よりも大きいため、これからの交易が活発になれば、急成長していく市場であることは間違いない。

《経済連携を含めた世界商圏の比較》
  

《ASEAN加盟国の内訳》
  

ASEAN加盟国の間では「自由貿易地域」の協定が結ばれており、貿易による関税の削減、撤廃や、人の移動、知的財産の移転に関する緩和が進められている。さらに、中国との間では、2010年から「中国・ASEAN自由貿易地域(CAFTA)」の協定がスタートして、「ASEAN→中国」または「中国→ASEAN」の貿易についても、2015年までに関税率が大幅に緩和されて、ゼロに近くなる見通しだ。

これは、中国とASEANの間にある国境を取り払った、一つの自由経済圏が生まれることを意味しており、両者の人口を合わせると「約19億人」という世界最大の市場が浮上する。

それに対して、隣国に位置する日本がどんなビジネスを展開していくのかが、今後の重要な課題で、日本から中国向けのビジネスを仕掛けるにしても、ASEANを経由することで、様々なメリットや裏技を考えることができそうだ。

日本と中国の間には、EPAのような経済連携の協定は結ばれておらず、神経質な関係のままビジネスが続けられているが、日本とASEAN諸国とでは、EPAが締結されて、友好的なビジネスができるため、日本にとってASEANは、中国ビジネスの中継地としても使えるし、中国だけを意識しない「19億人市場」に向けたビジネスを展開することも可能になる。

《ASEAN−中国ビジネスの関係図》

  

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この記事の核となる項目
 ●医療介護人材の国際調達ビジネス
 ●外国人看護・介護人材が日本で就労するまでの業界構造
 ●外国人介護人材が日本で就労するタイムテーブル
 ●言葉の壁を盾にした日本の外国人就労政策
 ●中東へと流れるフィリピンの看護人材
 ●なぜ中東では外国人材の就労受け入れに前向きなのか?
 ●フィリピンと日本が同じ土俵で闘う米国ナースの座
 ●米国で看護師として働くまでのステップ
 ●国から自由貿易圏へと広がる新商圏
 ●経済連携を含めた世界商圏の市場規模
 ●日本のリタイア世代を狙うASEAN諸国のビザ政策
 ●年金生活者を受け入れるマレーシアの狙いとは
 ●黒船に乗った新興国の知的ワーカーが迫る労働市場の開放政策
 ●日本からの中国ネットビジネス参入に向けた視点の磨き方
 ●在宅介護セルフサービス時代の幕開けと新たな専門職の役割
 ●介護保険の陰に隠れた家政婦サービスの業界構造と潜在市場
 ●隣の外国人が日本で働いているカラクリと業務請負ビジネス
 ●ネットによって国境を楽々と越えるサービス貿易の動向と影響


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