起業家のための成功法則
  
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  優れた特許を持つ会社を買収しようとすれば、何百億円という資金が必要になるが、その技術を開発している技術者や研究者をヘッドハンティングするのであれば、彼らに数千万円の年収を払うだけで済む。そうした考えから、先端技術の世界では、有能な研究者を争奪しようとする動きが加速している。
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科学者を目指す研究スタイルの変化
優秀研究者の争奪合戦
written in 2011/1/24

 研究者にとっても、自分の研究活動を快適に行える環境(職場)を確保ことは大切になる。その方法としてわかりやすいのは、大学の教授を目指すことで、以前は、出身大学で世話になった教授の推薦やコネが物言う世界だったが、最近は大学側でも、有能な人材を広く募集する方針へと転換しており、民間企業に勤める研究者を対象にした求人の窓口も広がっている。

科学技術振興機構が運営する「JREC-IN(研究者人材データベース)」は、国内の大学や公的研究施設が募集する研究者の求人情報サイトで、研究分野別に求人の案件を検索することができる。

大学教員への応募条件として、「博士号」の学位が必須というわけではなく、それと同等レベルの専門知識があれば、論文や研究実績の提出と、学会での発表や講演歴、それに、研究資金の獲得実績などが選考評価の基準になる。私立に限らず、独立行政法人化している国立大学にとっても、研究の採算や収益化を重視して、資金の調達が上手い、または既にスポンサー(資金提供者)が付いている研究人材を求めている。

ただし、大学教員としての採用は、助手や講師の立場からスタートするのが一般的で、年功序列の慣習に加えて、論文の提出数と、その論文がどれだけ引用されたかによって評価されるシステムになっている。「教授」になれば年収が1千万円を超すものの、それは50歳に差し掛かる頃になるのが普通で、働き盛りの40代は、国立大学の場合で600万〜800万円台という水準。

働き方の自由度は、企業よりも高いため、給与よりも時間を優先したいという人には適した職場と言えるが、金銭的な報酬面では民間の研究者よりも安くて、少子化で大学の経営が悪化すれば、今後も給与が上がる見通しは低いため、大学に所属するだけの研究スタイルにも、斜陽の時期が訪れている。

《大学教員の平均年収(国立大学の例)》

  

 所属先が大学、企業のいずれにしても、サラリーマンとしての研究者は年収が500万〜 1000万円という水準で、これは技術の価値からすれば非常に安いという見方もできる。

世界で通用する特許を多数保有している企業を買収しようとすれば、数百億、数千億円という資金が必要になるが、同社で活躍している有能な研究者をヘッドハンティングすれば、それよりも遥かに安いコストで、それと同等の技術力を入手することができる。そこの気付いた目聡い新興企業では、買収の対象を“会社”ではなくて、“個人(研究者)”へと切り替えている。

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この記事の核となる項目
 ●資金調達ノウハウが要となる研究活動
 ●国内における研究資金マネー(18兆円)の流れ
 ●斜陽化する大学教員としての研究スタイル
 ●世界に広がる研究者の買収とスパイ疑惑
 ●研究者の引き抜きで特許技術を得る新興国メーカー
 ●競争資金による研究者の起業モデル
 ●インセンティブを効かせた米国研究者の報酬体系
 ●知的財産が守られた競争的研究ビジネスの収益構造
 ●クラウドで広がる社会貢献型の研究ネットワーク
 ●オープンソースソフトが求められる理由と商用ソフトのリスク
 ●ITの巨人企業が狙う権利ビジネスモデルと特許オークション
 ●雇われない働き方へと移行する頭脳をウリにしたプロ人材
 ●サラリーマンの実戦経験を活かして大学教授へと転身する道
 ●みんなの共同作業で解明する市民科学とクラウド社会の輪郭
 ●回路図の開示による顧客サポートとオープンソース電気自動車
 ●知財社会を担うサラリーマン技術者が独立起業を果たす道


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