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ゲーム理論で動く才能集団の
利害関係に基づく協業ビジネス
written in 2010/11/16

 ビジネスを目的に結成されたチームが、仲良しコミュニティと違うのは、各メンバーが利得(お金を稼ぐこと)を目的に参加していることで、できれば、他のメンバーよりも、自分のほうが多く稼ぎたいと考えている。つまり、相手を出し抜いたり、裏切るかもしれないという心理が、仕事仲間との間には必ずある。

普通に考えれば、それだけで仲間との関係はギクシャクして険悪になってしまいそうだが、実際には、深い信頼関係で結ばれて、親友以上の付き合いになることも珍しくない。逆に、ネットコミュニティには、どんな新参者も歓迎してくれる優しさがあるが、何かのトラブルを切っ掛けにして、特定のメンバーを誹謗中傷したり、イジメが発生するような怖さも併せ持っている。

それが何故なのかは、「ゲーム理論」を使って説明することができる。チェスやカードゲームのように、複数のプレイヤーが個々の利益や勝利を目的に行動するパターンには幾つかの法則があり、それを数学的に実証して、ビジネスや政治の世界における人間の行動予測に応用されているのが、ゲーム理論である。

その中の有名な法則として「囚人のジレンマ」というものがある。麻薬取引の容疑者として、AとBの二人組が警察に捕まったとしよう。しかし、警察はその二人が犯人という大方の証拠は掴んでいたが、決定的な自白にまでは持ち込めないでいる。そこで彼らを別々の取調室に呼んで、裏取引を提案した。

このまま黙秘を続けても、裁判をすれば、証拠があるので二人はそれぞれ懲役1年の刑になるだろう。しかし、今すぐに自白をすれば、黙秘している相棒の罪を重く(懲役3年)する代わりに、お前は無罪にしてやろう。ぐずぐず考えているうちに相棒が自白してしまえば、事件の詳細が暴露されて二人とも懲役2年の刑は避けられないぞ。

そんな話をAとBの両方にすると、彼らの頭の中では「自分だけは無罪になりたい」という私欲が強くなり、相棒のことを裏切っても仕方が無いという心理になる。しかしその時には、相棒も隣の取調室で同じことを考えているため、結局は両者が共に自白をして、裁判では最も重い刑(二人とも懲役2年)を受けてしまうのだ。

《黙秘と自白による量刑の選択肢》

  

(1)AとBが共に黙秘を続けた場合の量刑………二人合計2年(1年+1年)
(2)AとBのどちらかが裏切った場合の量刑……二人合計3年(3年+無罪)
(3)AとBの両方が裏切った場合の量刑…………二人合計4年(2年+2年)

AとBそれぞれにとって最大の利益を得るための選択肢は、自分が相棒を出し抜いて無罪を獲得する(2)の行動になるわけだが、実際の人間関係では、お互いが同じことを考えているため、結局は両者が裏切る(3)の状態に陥って、二人には最も大きな損(二人合計で懲役4年)が生じてしまう。

そこで、賢い囚人チームは「自分だけ無罪になること(最大の利益)」は望まず、相棒を裏切らずに、黙秘(協調)を続ける(1)を選択するのである。ただし、協調関係を壊さずに維持できるのは、この法則を理解している“頭の良い者”に限られるため、一緒に仕事をするメンバーは厳選する必要がある。

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この記事の核となる項目
 ●ビジネスの現場に生じる協調と裏切りの選択肢
 ●ゲーム理論を応用したビジネスにおける信頼関係の作り方
 ●ネットコミュニティにおける人間関係の法則
 ●バンドが売れるとメンバーの仲が悪くなるのは何故か?
 ●新たなバンド形態による音楽才能の集まり方
 ●バーチャルバンドの活動スタイルと収益モデル
 ●ミュージック・コラボレーションのオンラインスタジオ
 ●会社組織からスカンク・ワークスへの転換
 ●仮想チームによる翻訳作業の進め方
 ●コラボレーション・ワークの収益分配ノウハウ
 ●コラボレーションの数だけ増える契約の種類
 ●クラウドで育成される専門人材とバーチャルオフィス
 ●組織には頼らない米タレントの求職活動とオーディション市場
 ●知的人材が求めるフレキシブルワークと新たな隠れ家的空間


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