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一億総中流が崩壊した日本における
相対的貧困者の実態
written in 2010/3/20

 日本でも「貧困」という言葉をよく耳にするようになったが、世界的な基準ででは「絶対的な貧困者」と「相対的な貧困者」という2種類の扱いをしている。

前者は、人間として最低限の生活をしていくのに必要な収入を得ることができない人達で、世界銀行の定義では、その水準を、家族一人あたりが一日1ドル以下で生活している世帯で、5人家族なら、年収でおよそ1800ドル(約17万円)以下が該当する。その数はおよそ12億人で、世界人口(68億人)の約17%だが、1日2ドル以下の生活者になると世界の約半数(30億人)にまで増えると算定されている。

それに対して後者の「相対的貧困者」は、各国の平均的な所得水準の半分に満たない人達のことを指している。※正しくは、等価可処分所得の中央値に対して半分に満たない人達。等価可処分所得は、世帯全体の所得を家族人数の平方根で割って算出する。

日本の状況で大まかに言うと、国民生活基礎調査(2008年)による一世帯あたりの平均年収は 556万円だが、高額年収を得ている一部の人達が平均値を押し上げていることを考慮して、全世帯の中央値でみると「年収448万円」がちょうど真ん中になる。つまり、そこから導かれる“相対的貧困”は3人家族で世帯年収が224万円前後の水準になる。

《日本の一世帯あたり所得分布状況》

  

相対的な貧困者に該当する所得水準は、家族の有無によっても違って、単身者の場合には、手取りの年収で 120万円前後を指している。言い換えると、月収がおよそ10万円で生活している人が該当するが、じつはこの水準とパートタイム労働者の平均月収がピタリと一致するのである。

《就業形態別の月間給与額(手取り)》

  

自分のことを“貧困”と意識するか否かは、人それぞれだが、生活に対する厳しさは世界を一つとした絶対的な比較よりも、その国の中における相対的な格差によって感じるため、世界的にみれば豊かな国である日本にも「貧困者は存在している」というのが政府の見解で、その層は次第に厚くなってきている。経済協力開発機構(OECD)が発表する各国の相対貧困率でみると、日本は米国に次いで高い水準にあるのだ。

《先進国の相対的貧困率》

  

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この記事の核となる項目
 ●国内で急増する貧困層の実態について
 ●先進国の貧困率からみた日本の生活レベル
 ●貧困文化に慣れていない日本社会の特徴
 ●貧困を前向きなエネルギーに変えた米ヒップホップ文化
 ●米国の貧困層から生まれるヒップホップ市場
 ●既存の体制に頼らないヒップホップ・ビジネス
 ●ヒップホップから生まれる社会事業の影響力
 ●貧しくてもカードが使えるラッシュカードの仕組み
 ●ルイ・ヴィトンは買わずに借りる時代の新ステイタス
 ●生活費の減少を支える米ファイナンシャルエイドのカラクリ
 ●雇われない働き方へと移行する頭脳をウリにしたプロ人材
 ●ヤワな日本人には太刀打ちできない一触即発の食糧危機
 ●ギークな専門性をウリにしたビジネスマンの生き残り対策
 ●イスラム商法に学ぶ営利ビジネスの健全化と懺悔の方法
 ●路上を商いの場とするストリートショップの実態と可能性


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