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ハイコスト化するネットビジネスからの
離脱と新モデル
written in 2010/3/5

 日本の国内総生産(GDP)は、米国に次いで世界第2位を維持しているものの、国民一人あたりの GDPでみれば、20位以下に落ちる。国民の労働による生産高が GDPの数値として表されているため、労働人口が減少していけばさらに GDPは減少、それに連動して消費市場も冷え込んでいく。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、いま日本の人口は1億2千万人だが、現在の40歳が80代になる頃には、9千万人にまで減少することが予測されている。しかも、労働者としての生産性が高い人口(15歳〜64歳)でみると、なんと現在の半分に減少してしまうのだ。これは GDPもやがて半分以下に落ち込むことを意味している。人口の減少と高齢化は、先進国に共通している傾向だが、特に日本ではその進行スピードが速い。

《将来の人口予測》

  将来の人口予測

人口減少によって予測できるのは、市場のパイが小さくなることに加えて、消費者の価値観も、マス(集団)から“個”へとシフトしていくことである。それは家族構成の変化から裏付けられることで、家族の数が少なくなるほど、集団に迎合することよりも“個”を大切にする傾向が高まり、それが消費の嗜好にも影響してくる。

《日本の世帯数と家族人数の変化》

  日本の世帯数と家族人数の変化

その前兆は様々な業界でみられるが、音楽業界を例にすると、CDの国内生産額は1999年に5500億円だったのが、2008年には2900億円にまで激減。それに伴い、100万枚以上が売れたミリオンセラー作品も 1999年には30作品あったのが、2008年では7作品にまで減少している。

《ミリオンセラー作品によるCD売上の推移》

  ミリオンセラー作品によるCD売上の推移

ミリオン作品の減少が音楽業界の縮小へ繋がることは確かだが、その一方では、ネットで濃い情報を吸収して、熱心な音楽ファンも育っているため、今後の音楽業界が消滅してしまうということはなさそうだ。そこで、今後の音楽業界は1作品あたりが「数十万枚売れて成功」という基準ではなく、数千人のコアなファンを対象にして、スモールビジネスでも黒字となるようなビジネスモデルの転換が必要だ。具体的には、アーチストの育成〜セールスにかける経費を圧縮して、1作品あたりの損益分岐点を下げることが努力課題になる。

《損益分岐点の公式》

  損益分岐点の公式

上の公式を暗記しなくてもわかるのは、売上高に対する経費を抑えるほど損益分岐点は高くなるということ。すでに大手のレコード会社では、不動産の売却や社員のリストラで固定費の削減には着手しているため、残されているのは、作品をヒットさせるために投じていた、広告やマーケティングへの変動経費を圧縮しても黒字になるような体質に変革することである。
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この記事の核となる項目
 ●縮小経済でも黒字にするビジネスの特徴
 ●家族人数の変化に伴う消費の傾向
 ●一人っ子家族の増加が崩壊を招く家計の収益構造
 ●音楽業界にみるミリオンセラー商品の衰退
 ●損益分岐点を下げたダウンサイズビジネスの特徴
 ●人気アーチストを最大限に収益化する360度契約
 ●ニッチな才能を黒字化する小ロットビジネス
 ●ダウンサイズしたニッチアーチストの売り方
 ●小ロットでも成り立つ音楽家の収益モデル
 ●ネット=ローコストビジネスという誤解
 ●ハイコスト化する電子書籍ビジネスへの警鐘
 ●成長なき出版ビジネスで変わる業界地図と電子商戦の戦い方
 ●感動をウリにする第5次ビジネスの正体と消費者の欲求願望
 ●グーグルが仕掛ける携帯ビジネスの革命と消費者の未来生活
 ●利益確定型へとシフトするeコマースの新ビジネスモデル


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