人の感性には「感動、喜び、共感」などの種類があるが、これらを満たすことが「第5次産業」と言われる領域のビジネスとして注目されている。人間の欲求は麻薬と同じで、一度その美味を味わうと、より 強い刺激が欲しくなっていく。その対象は、モノから無形のサービス、そして知力へと進化して、最終的には「心」に辿り着く。 (JNEWSについてトップページ
感動をウリにする第5次ビジネスの正体と欲求願望

JNEWS
JNEWS会員配信日 2009/12/24

 いまや2百円台で牛丼が買えて、ユニクロへ行けば服は1千円以下というデフレの時代で、生活費はできるだけ切り詰めている消費者が大半だろう。しかしそれだけで人間が満足できるわけではなく、クリスマスや正月に家族が揃った時の食事や、大切な人とのデートくらいは豪華にしたいという希望がある。それは決して贅沢ということではなくて、心を平穏(幸せ)に保つために不可欠なものだ。

食事以外でも、心にとって大切なことはたくさんあるが、それらに共通しているのは“感動する”という意識の存在だ。いま医学の世界で注目されているのは、人間の老化はカラダよりも先に頭から起こる、頭の中でも一番最初に始まるのが「感情の老化」である、という学説。たしかに、中高年者が周囲を見渡しても、実年齢よりも老けて見える人と、若く見える人との間には、新しい物事への興味や関心の示し方が違うと実感することが多い。

では、人間は具体的にどんなことに感動をするのか?それは時代と共に変化(進化)しており、かつては、高級品を所有することや、豪華なレジャーを楽しむことなど、自分本位の欲求を満たす内容が中心だったが、最近はそれよりも高度な思考で、世の中で自分の存在価値を認められたい、人の役に立ちたいという傾向が強くなっている。

《現代人が心を満たす欲求願望》

これらの願望に共通しているのは、自分と他人との関係を重視していることで、必ずしも「自分がサービスを受けること」だけを満足の対象としているわけではないと。たとえば、年を取っても若く見られるためのアンチエイジング市場が成長しているのは、「いつまでも人から愛されていたい」という願望が背景にあるし、趣味のコミュニティが盛り上がっているのも、自分が他人から評価されたり、同じ趣味仲間から必要とされたい気持ちが関係している。

ブログを熱心に更新する人が増えたのも、自分の書いた記事へのアクセス数が増えたり、コメント欄にお礼や励ましのメッセージが書き込まれることで、“自分が誰かの役に立っている”と実感できるためだろう。グルメライターとして収入を得ているわけでもないのに、自費で数多くの飲食店を食べ歩き、それを写真付きのレポートとして丁寧に紹介することによる満足感は、これまでの消費行動では得られなかったものだ。

《ブログによる新しい心の満足感》

こうした活動がさらに進化すると、仕事でも同じ満足感を得たいと思うようになる。ビジネスの引退時期に差し掛かった50代後半以降の世代に加えて、10代、20代の若者からも社会貢献ができる仕事に就きたいという人が増えている。もちろん収入は多いに越したことはいが、利益至上主義の会社に勤めて一生を我慢するよりも、「世の中に役立つ仕事がしたい」という価値観である。

サラリーマンの終身雇用が崩れてしまっている状況では、社内で出世することの意味は薄くなり、それよりも「社会全体から認められることのほうが大切」という考え方へ移行している。これは今の労働市場で良い待遇が得られない若者だからこそ開眼した副産物ともいえるが、こうした心の変化は消費の動向にも変化を与えている。

それが「ソーシャル消費」と呼ばれるもので、衣料のリサイクル貢献する古着でオシャレをしたり、地元の農家を支える地産地消によるグルメを楽しんだり、という新たな消費行動は、自分の所有欲や金銭的なメリットで商品が求められてきた従来の製造業やサービス業、それに商品を高級ブランド化する第四次産業までの括りでは説明が付きにくい新たな潮流だが、人間の欲求願望からすると正しい進化の経路を辿っている。

《食ビジネスにおける5段階の進化》

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・心の満足度を与える第5次ビジネスの特徴
・現代人が心を満たす欲求願望
・食ビジネスにおける5段階の進化
・生の感動を商品として売るオーケストラ経営
・国内プロ・オーケストラの経営状況
・感動ビジネスにおける寄付と特典の交換取引
・欧米政府が誘発させる寄付マネーの力
・新しい社会貢献ビジネスモデルの収益構造
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