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  労使の関係が不安定になる中で「サラリーマン法人になる」という考え方がある。現勤務先との雇用関係は維持しながら、自分の法人(会社)に給料を振り込んでもらうことで、節税を図るというものだが、そこから新しいサラリーマンの収益構造を組み立てることができる。
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家族で経営するサラリーマン法人の仕組みと
新たな脱サラの形
written in 2008/2/16

 サラリーマンが定年退職を迎える年齢は、ほとんどの会社が「60歳の誕生日」に設定している。なぜ60歳になった当日なのかというと、高齢法という法律によって定年の年齢を60歳未満に設定することが禁止されているためだ。そこで解禁された初日を定年日にしている会社が多い。2006年には法律が改正されて、定年の見直しがされるようになったものの、実質的には今でも「60歳」がサラリーマン引退の基準になっている。そのため出産やマイホーム購入など人生設計を立てる時には「60歳−現在の年齢」を計算して、自分があと何年働けるのかを考えるのが一般的だろう。

ところが「定年」というのは、会社との雇用関係が終了する最長の年齢であり、それまで無事に会社に勤め続けられるとは限らず、むしろ生え抜き社員として35年以上を勤め上げ、定年の日を迎えられる人は、ほんの一握りに過ぎない。厚生労働省の統計によれば、サラリーマンが一つの会社で働く勤続年数は約12年で、退職年齢は40〜45歳というのが平均値である。そうは言っても、体力よりも頭を使うホワイトカラー職なら長く働けるだろうと思うかもしれないが、実際にはその逆で、工場や工事現場の作業員として働くブルーカラー職の平均退職年齢が55〜60歳であるのに対して、ホワイトカラー職は40代で自主的な退職をする割合が高い。金融や保険業界に至っては、退職年齢が35歳前後という短命だ。

しかし30〜40代で会社を辞めたからといってハッピーリタイアするわけにはいかず、次の職を見つけなくてはならない。優秀な人ならスカウトやヘッドハンティングの話が何件もあって、次の転職先を見つることはできるが、即戦力としての成果を期待されての仕事は厳しい様子で、転職先での勤続年数は、最初の会社よりも大幅に短くなっている。

また、どこからも声がかからなければ、地道な就職活動をすることになるが、今の時世では中高年を正社員として雇う会社は少ないため、渋々ながら契約社員や派遣社員として働く道を選ぶというのがお決まりのコース。少し前の常識なら、派遣の仕事は20代の若い人達がやるものだったが、いまでは派遣社員の平均年齢が35歳前後に高齢化している。派遣の給与は職種によっても異なるが、時給で約1200円というのが相場で、月収の平均値は20万円と安い。しかも派遣社員が一つの勤務先で働けるのは約1年と短期雇用が前提だ。

これがワーキングプアの実態で、「定年まで雇うこと」を建前とした終身雇用制度が既に崩壊していることは当然として、正社員としての立場を一度捨ててしまえば、流浪の民として数年サイクルで会社を渡り歩かなくてはいけない現実が待ち受けている。そのため現代では、サラリーマンがリスキーな働き方になってしまっているのだ。これらの現実を冷静に捉えて、にわかに浮上してきているのが「45歳定年説」というものだ。形式上の定年は60歳としても、実際には45歳前後を実質的な退職時期と捉えると、各企業の平均勤続年数や雇用統計のデータとピタリと合うのである。

 ●自分が考えている理想の退職年齢………約65歳 ──┐
                          │約20年の差
 ●実際の平均退職年齢………………………約45歳 ←─┘


これを前向きに捉えるなら、45歳で必ず会社を辞めるということではないにしても、そこからはいつ辞めても困らないように「雇われない生き方」を模索しておくことが肝要だろう。プロ野球選手でいうところの“フリーエージェント宣言”をする歳にあたるのが、サラリーマンにとっては45歳前後とみればわかりやすい。現実に、中高年社員の雇用関係を解除して業務委託契約に切り替える企業も出始めていて、サラリーマンと自営業者との境目が次第に曖昧になってきている。それがどういうことなのかを紐解くことにより、新しいワークスタイルの形と、そこに向けた新ビジネスの動きを見ていくことにしよう
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この記事の核となる項目
 ●高齢化社会で破綻するサラリーマン人件費の構造
 ●サラリーマン人件費の内訳からみた給与以外のコスト
 ●増税時代に対抗したサラリーマン法人の発想
 ●サラリーマン法人の仕組み(鈴木家の場合)
 ●サラリーマン法人の仕組み(山本家の場合)
 ●知的職業に広がるフランチャイズビジネス
 ●難関資格保有者の数からみた開業者の割合
 ●知的職業の開業を支援するフランチャイズビジネス
 ●不動産ブローカーに看板を貸す不動産FC会社
 ●会計のスペシャリストをフランチャイズ化するビジネス
 ●米国税金還付サービスにみる知識開発会社のビジネスモデル
 ●社長よりも高収入を稼ぐスペシャリスト職の台頭と報酬体系
 ●個人事業化するエグゼクティブ層を支える裏方ビジネス
 ●不動産業界にみるプロフェッショナルとしての在宅ワーカーの仕事


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