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企業スキャンダル発覚の裏にいる
ホイッスルブロウアーの台頭
written in 2007/11/3

 老舗の菓子メーカーや食品メーカーで「じつは賞味期限を改ざんしていました」という不祥事の発覚が相次いでいるが、これはまだ氷山の一角と言われている。食べ物を売り物にしている企業では、売れ残った商品を廃棄するロス率の違いによって利益率は大きく変わるため、できることなら売れ残り品を再利用したいという思いが経営者の中にあるためだ。それが工業製品の分野であれば「優れた効率経営ですね」と評価されてもおかしくないが、消費者の口に入る食品ではいただけない。

どんなに「おいしい」と評判の老舗銘菓や料理店でも、安全面の信用が一度崩れてしまうと、会社の屋台骨が壊れるほど深刻な打撃を受けてしまう。そこで食品に携わる業者が事業を拡大していく過程では、子会社をたくさん増やす形でリスクを分散している。そうしておけば子会社の一つが食中毒事故などを起こしても、別会社の事業にまで影響が及ぶ可能性は低くなるという考えによるものだ。しかしこれだけ情報化が進んだ世の中になれば、ちょっとした事故や不正でも誰かが一人騒ぎ始めると瞬く間に悪評が広がってしまう。

食品業界に限らず、最近になって企業の不祥事が次々と明るみに出ている背景には、従業員の密告(内部告発)がしやすくなっていることが挙げられる。社内の不正が発覚する道筋としては、匿名者から監督官庁や新聞社などに情報が寄せられて、それを元に裏付け調査がされて不正が暴かれるという流れが一般的。じつはこの“匿名者”こそが、その会社に勤める社員(または元社員)なのである。

過去の例では、従業員が社内の不正を外部に告発すると、閑職に追いやられるか解雇されるという会社側の懲罰行為が相次いだために、日本でも「公益通報者保護法」という法律が2006年4月から施行され、内部告発者が解雇や降格、減給などの不利益を被らないように法的に保護されるようになった。その具体的なシステムとして、従業員が行政機関に対して社内の不正を告発して、その内容の信憑性が高いと判断されるとそれは“公益通報”として扱われ、通報者の個人情報は保護された上で、会社に対する内定調査が進められていく。また個人名を明かさない匿名通報についても告発を受け付けてもらえる。最近のニュース報道の中で、不祥事が発覚した事件のソース(情報源)が伏せられているのは、この法律に則っているためである。

昔なら、会社の秘密を外部に漏らす者は“密告者”というそしりを受けてしまったのが、今ではそれが“公益通報者”として保護されるようになったことで、これから企業のスキャンダルは次々と明るみに出てくることが予測されている。ではそれに対して企業側ではどんな対策を講じていけばよいのだろうか?従業員の行動を厳しくチェックして、会社を裏切らないようなプレッシャーをかけるというのでは逆効果なのは言うまでもない。

そもそも会社が組織ぐるみでおこなう不正な行為は、経営者や幹部社員の指示により担当部署の社員が手足となって動いていることが多いのだが、そんな仕事をしていればモチベーションが下がってしまうのが当然だろう。その会社への不満が“外部への告発”という最終的な行動になって現れるため、そこまで不満が蓄積される前に、社内で不正を改善できる環境を作ることが必要だろう。欧米では内部告発者のことが「ホイッスルブロウアー(警笛を吹く人)」と呼ばれて、企業向けにホイッスルブロウアーとの関わり方を指南する専門業者も登場して、新たな対策市場を形成しはじめている。

また企業を管理監督する側の行政機関や、報道機関ではホイッスルブロウアーを新たなパートナー(協力者)として情報収集や調査をする仕事の進め方が普及し始めている。『内部告発をするならこちらの窓口から是非どうぞ』いうわけで、たくさんの投稿窓口が開設されている。世が世ならスパイ大情報戦とでも言えそうな内部告発の舞台裏がどのように展開されているのかを見ていくことにしよう。
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この記事の核となる項目
 ●内部告発で露呈する企業スキャンダルのシナリオ
 ●社員が不正(法律違反)を内部告発できるルートについて
 ●表沙汰になる前に不正を食い止める内部告発システムへの商機
 ●会社から離れた内部通報システムの仕組み
 ●外部ヘルプラインを経由した通報システム
 ●外部ヘルプライン業者の役割とビジネスモデル
 ●内部告発者に賭けられる報奨金システムと密告通報の争奪合戦
 ●ホイッスルブロウアー(内部通報者)の争奪戦が始まる!
 ●ネットに広がる垂れ込み情報サイトのビジネスモデル
 ●セクハラ告発サイトのビジネスモデル


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