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金融資産と実物資産のバランスでみる 資産形成の実態と懐事情 |
written in 2006/10/26
隣の家の芝生というのは気になるもので、隣人が自分より少しでも良い暮らしぶりをしていれば羨ましいと思うことがある。しかし実際の懐事情というのは、当事者でなければわからない。新型の高級外車に乗っている人が必ずしも“金持ち”というわけではなく、月々20万円のローンを組んで購入しているということも珍しくない。個々の持ち物や買い物(消費)の内容は、それぞれの価値観によってお金の使い方が異なるため、経済的な優劣を判断する尺度としては、あまり参考にならないのだ。2004/7/5号で紹介したように、本物の富裕層ほど質素に暮らしているということもある。
人生を経済的に豊かにしていくためには、いろいろな資産を少しずつ築いてゆく努力をすることが大切だが、日本の全世帯でみた平均資産額は約3900万円という水準にある。これは住宅ローンなどの負債を差し引いた後の純資産額を表しているが、おそらく想像以上に“多い”と感じる人が大半だろう。
個人資産の中には、貯蓄や有価証券(株式)などの「金融資産」と、土地や住宅、自動車や他の耐久消費財などの「実物資産」とがある。どんな種類の資産をどんな割合で保有しているのかは各家庭の状況によって異なるが、その中には家財道具までが含まれている。ただし多くの買い物では購入した時の金額と、資産としての評価額とは異なるために、長い人生の中でどんな買い物をするのかによっても、一生のうちで築くことができる資産額には大きな差が生じてくる。
一世帯あたりの平均資産額(約3900万円)の内訳は、およそ1/4が預貯金などの金融資産で、残りの3/4が実物資産(おもに土地と住宅)という構成になっている。統計上の資産額よりも現実の生活のほうが余裕がないと感じるのは、自由に使うことができる預貯金が資産額に対して少ないためだろう。一般の家庭において最も大きな資産といえるのは、やはりマイホームなのだ。最近ではマイホームを買わない“生涯賃貸派”の家庭も増えているというが、全世帯数からみるとそれは15%未満に過ぎない。
(起業家のための成功法則一覧へ)
●日本人が名目上の資産額よりも生活が厳しい理由
●日本の家庭における平均的な資産状況
●年齢別にみた世帯の資産状況
●実体資産の価値と維持費にかかるコスト
●貯蓄の内訳から判断する富裕層における保守派と革新派の特性
●貧富の差が広がる世の中でなかなか正体を現さない富裕層の影
●SOHOが富裕層の仲間入りをするための発想と蓄財ノウハウ
●格差社会に仕掛けられた"勝ち組"の虚像と真の顧客ターゲット
●高齢社会の勝ち組と負け組を分ける老親の収入源と生活設計
JNEWS LETTER 2006.10.26
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