|
新規開業者が出資者を募るために必要な “株主特典”とは何か? |
written in 2006/10/15
事業を始めるには相応の資金が必要になるが、新規の独立開業者が自己資金として用意できる平均額は約4百万円という話を前回の記事で紹介した。それ以外の不足する資金については外部から調達することになるが、金融機関からの借入を行なうには担保や保証人が必要であることから、新規の開業者にとっては敷居が高い。国民生活金融公庫では、担保・保証人のいらない新規開業ローンを用意しているが、そこでの融資限度額は750万円までだ。これに自己資金を加えると、約1200万円、それでも足りなければ親族からの借金で開業資金を調達しているのが標準的なモデルといえる。
しかし1千万円台の資金で開業できる事業の内容は限られてくる。事業計画を進めるにあたり、とても1千万では自分の描いたビジネスモデルを実現できないと失望する人は少なくない。そんな場合には、別の資金調達の道として出資者を募るという方法もある。単純計算でいけば十人の友人知人から百万ずつ出資を募れば1千万円の資金が調達できるし、1千万の資金をポンと出してくれる出資者が3人いれば3千万の資金になる。株式会社というのは、本来このように出資者(株主)から資金を調達できることが利点だ。
しかし実際に自分が会社を立ち上げようとした際に、たとえ旧知の仲であっても個人が苦労して貯めたお金を出資してもらうことはとても難しい。よく見られるのは、新規開業者が自分の事業プランがどれほど魅力的なのかを力説して出資を募ろうとしている光景だが、それでは出資者側のメリットを提示したことにはならない。
もちろん、その事業が大成功して株式公開を果たせば出資者にも多額のリターンが得られることになるが、それは宝くじが当たるような確率でしかない。出資者の立場で考えれば、同じ百万円で株を買うのなら、軌道に乗る保証がどこにもない創業前の会社よりも、既に上場している優良企業の株をオンライントレードで購入したほうがリスクは遥かに少ない。上場の可能性をちらつかせて出資者が集められるのは、事業が軌道に乗り始めて、世間から注目される会社にまで成長してからのことだ。それでは、創業時の会社経営者は出資者に対してどんなメリットを提示すればよいのだろうか?
(起業家のための成功法則一覧へ)
●高配当を期待させた変わり種ファンドの末路
●出資者を募るための株主優待制度への着目
●有限責任事業組合(LLP)設立による共同事業立上げの新たな形
●未上場企業の株をめぐるトラブルと"死に体"企業の転売ゲーム
●会社を辞めるリスクを取らずに"株主"となって起業する方法
●中小企業が新たに開拓すべき直接金融による事業資金の集め方
●中小企業が銀行からの融資に頼らない資金調達の道(少人数私募債)
JNEWS LETTER 2006.10.15
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
■この記事に関連したバックナンバー
●株式時価算出法から考える共同出資型ベンチャー企業の落とし穴
●意外と多い会社設立時における出資金払込時のトラブルと対策
●有限責任事業組合(LLP)設立による共同事業立上げの新たな形
●中小企業が新たに開拓すべき直接金融による事業資金の集め方
●企業買収時代の防衛策として見直される「有限会社」の隠れた特性
●会社経営者より高収入を稼ぐフリーランサーの知的資産管理術
●改めて問われる株式上場の長所と短所、上場を目指すことの意義
|
|
|
|