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生涯所得で比較することで見えてくる 職業選択の損益分岐点 |
written in 2006/9/6
ビジネス誌には年収ウン千万という成功者の軌跡が華々しく紹介されている。その記事に触発されて同じ道を目指そうとする読者は多い。またプロ野球選手やプロゴルファー、世界で活躍するプロサッカー選手など、プロスポーツの世界で“超一流”と認められた選手は億単位の年収を稼ぐことで少年達に夢を与えている。
多くの人から羨望のまなざしを送られる職業の条件として「高収入が稼げること」という項目が含まれていることは紛れもない事実であるが、生涯を通してみれば、必ずしもその表舞台に立つスター達が金銭的に恵まれているというわけではない。その人の所得ランクを表す指標としては「年収」が使われることが多いが、これは1年単位の収入の状況を表しているデータに過ぎない。もし自分が本当に高収入を稼げる仕事を探しているのであれば、年収ではなくて“生涯所得”でそれぞれの職業を比較検討してみるべきだ。
スポーツ界で高収入を稼げる花形といえば、プロ野球選手が筆頭に挙げられる。その中で最も給料が高いといわれる巨人の一軍で活躍する選手ならば平均年俸は1億円を超している。そこだけをみれば、とても魅力的な職業のように思えるが、プロ野球選手の生涯所得を統計値でみると約2億9千万円、これは大卒サラリーマンの生涯賃金よりも若干高い程度の水準に過ぎない。
プロ野球選手の平均引退年齢は29歳、実働期間は約9年とかなり短い。わずか9年で約2億9千万円もの収入を稼ぐのだから大したものだが、人生を80年として考えれば引退後の生活はやはり心許ない。このように、それぞれの職業を「生涯所得」という長いレンジで考えてみると、華やかさの先入観を除外して冷静にそれぞれの職業をみることができる。もちろん職業の優劣は金銭面の条件で決められるものではないが、それぞれの職業がどんな収益構造によって成り立っていて、どれほどの生涯所得が期待できるのかを捉えておくことが大切だろう。
(起業家のための成功法則一覧へ)
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JNEWS LETTER 2006.9.6
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