|
ビジネスの規模で考える 損益分岐点とロングテール市場の捉え方 |
written in 2006/5/13
近頃流行しているキーワードの一つに「ロングテール」というものがある。これは「企業が稼ぐ収益の8割は、上位2割の得意客(商材)によってもたらされる」というパレートの法則の従って、大手企業が切り捨ててきた下位8割の顧客層や商材を改めて見直してみることがネットビジネスでは商機に繋がるという見方である。
ロングテール戦略として成功している具体例としては、グーグルのアドワーズ広告が代表的な存在として世界的に知られている。アドワーズ以前のインターネット広告市場では、多額の広告費を投入できる大企業のみが顧客ターゲットとされてきたが、アドワーズでは1クリックあたり7円〜という低料金をウリに、それまでネット広告には無縁であった中小企業や個人事業者のサイトを新たなクライアント層として取り込むことに成功している。1クライアントあたりの広告掲載料は少額でも、その対象顧客層は、馬の尻尾のように長い(ロングテール)ことからトータルでは大きな売上を得ることができる。
しかし「ロングテール」という言葉が登場する前から、日本ではその特性を利用して成功している業態が存在している。それこそが「オンラインショップ」である。正確に言うと、日本の“オンラインショップ”は米国のeコマースサイトとは異なる業態で、個人経営からスタートとして大手の小売業者とは競合しにくいポジションを築いている。その特徴は大手が扱わないようなニッチな商材を専門とすることで、特定の顧客層から絶大な支持を得ていることだ。
しかし、そんなオンラインショップの中でも売上が予想以上に伸びてくると、企業化を目指して、せっかくの優れた個性をそぎ落としてしまうケースが近年ではよくみかける。ただしそれはショップ側に必ずしも落ち度があるというわけではなく、ビジネスの規模が大きくなることによって損益分岐点が上昇してしまうことに理由がある。オンラインショップ経営に限らず、ロングテール戦略で成功して、それを維持し続けるためには、損益分岐点を上げずにローコスト経営に徹することが急所になる。そこを詳しく掘り下げてみたい。
(起業家のための成功法則一覧へ)
●ビジネスの規模によって変動する損益分岐点
●店の規模によって異なる月額経費の試算
●飲食店の商売における損益分岐点の捉え方
●ビジネスの規模が定まらないオンラインショップ経営の特徴
●ネットビジネスにおけるサイレント・マジョリティの捉え方と育成
●新規事業計画におけるニッチ市場の掘り起こしとセンスの磨き方
●経費の負担増で伸び悩むeコマースサイトの収益構造と問題点
●損益分岐点から導くオンラインショップの採算性分析法
JNEWS LETTER 2006.5.13
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
■この記事に関連したバックナンバー
● ロングテール市場に求められる超専門性の築き方と商圏法則
●生涯所得で比較することで見えてくる職業選択の損益分岐点
●経費の負担増で伸び悩むeコマースサイトの収益構造と問題点
●実店舗から学ぶ:失敗する人ほど下手な新規開業資金の使い方
●主婦層が牽引する在宅起業の有望テーマとニッチ市場の狙い方
●法人税を差し引いた後の純利益で考える事業の採算と会社経営
●独立起業して月収100万円までの道のりを短縮する利益率の特性
●儲かるショップと儲からないショップの利益に対する嗅覚の違い
|
|
|
|