|
貯蓄の内訳から判断する 富裕層における保守派と革新派の特性 |
written in 2005/9/6
個人が資産を形成していく上で給与所得に頼っていたのではどうしても限界がある。これは累進課税制度にも起因していることで、給与所得が増えるほど税率は高くなってしまうので、がんばって働いて高給を得たとしても給与の上昇カーブほどに資産額は伸びていかないのだ。一方、億単位の資産を持つ富裕層になると自分の給与年収に対して十倍以上の資産を持っていることが多い。総務省の統計によれば、一般的な三十代のサラリーマン世帯では年収と資産額とがほぼ同額というのが平均値であることから、一般層と富裕層とでは給与所得以外での錬金術に違いがあることがわかる。平成16年の家計調査によれば、一世帯たりの平均貯蓄額は 1692万円(年間収入は630万円)という水準にあるが、その内訳には大きな偏りが生じている。
《貯蓄高階級別の世帯分布状況》
・200万円未満---------------->13.8%
・200万〜400万円------------->10.8%
・400万〜600万円-------------> 9.2%
・600万〜800万円-------------> 8.9%
・800万〜1000万円------------> 7.3%→(勤労世帯の中位値:805万円)
・1000万〜1200万円-----------> 6.7%→(全世帯の中位値:1024万円)
・1200万〜1400万円-----------> 5.0%
・1400万〜1600万円-----------> 4.5%
・1600万〜1800万円-----------> 3.4%
・1800万〜2000万円-----------> 3.3%
・2000万〜2500万円-----------> 6.3%
・2500万〜3000万円-----------> 4.6%
・3000万〜4000万円-----------> 6.4%
・4000万円以上---------------> 9.9%
※出所:平成16年家計調査(総務省)
最近ではサラリーマンの中でも、給与所得以外で資産を増やすために株式投資を始める人達が増えている。ここ数年でようやく景気が浮揚して株価が持ち直していることと、オンライントレードによって株式の売買がしやすくなったため、かつてのバブル期を経験していない若手の個人投資家も増えている。株式は変動の激しいリスク資産であることから、素人が株取引に手を染めることには賛否両論がある。しかしある程度のリスクを冒さない限りは、資産は増えていかないというのも事実であるため、そのさじ加減が難しいところだ。
(起業家のための成功法則一覧へ)
●貯蓄構成から判断する富裕層の種類とマーケティング手法
●年収1700万円を超える世帯の資産構成について
●保守的な富裕層と革新的な富裕層の違いについて
●日本に多い「保守的な富裕層」と米国に多い「革新的な富裕層」
●貧富の差が広がる世の中でなかなか正体を現さない富裕層の影
●SOHOが富裕層の仲間入りをするための発想と蓄財ノウハウ
●富裕高齢者層をターゲットにするコンシェルジュ・サービス
●優良顧客を主体にニーズが高まるプライベートサービスの波
JNEWS LETTER 2005.9.6
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
■この記事に関連したバックナンバー
●バブル期の高級会員権ビジネスを反面教師にした富裕層ビジネス
●偽りの金持ちの影に隠れた、本物の富裕層の生活実態と価値観
●年収×2で考える新たなニューリッチ層の台頭とセレブビジネス
●消費でなく投資へと動きはじめる消費者の心理と金融資産の行方
●老後の家賃収入を期待した不動産投資ブームに仕掛けられた甘い罠
●会社経営者が背負うリスクと、もらうべき報酬額との相関関係
●法人税を差し引いた後の純利益で考える事業の採算と会社経営
●日常的な資金繰りに苦しむ会社経営者と儲かる個人事業主との対比
|
|
|
|