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企業買収時代の防衛策として見直される 「有限会社」の隠れた特性 |
written in 2005/3/18
自分が経営する会社に、ある日突然“大株主”と名乗る人物が訪れて経営権を奪われるリスクはすべての株式会社に存在している。上場していない中小企業であっても、社長が100%の株式を保有しているケース以外では、自社の株式が二次的、三次的に転売されていくことは十分にあり得る。2005/2/20号で解説したように、将来有望だと思われたベンチャー企業に出資したベンチャーキャピタル(VC)が、「この会社が上場するのは無理」と見限れば、所有する株を他へ売却することで投下資金を回収しようとすることもある。
その一方で、会社で働く社員の立場というのはとても危うい。すべての社内業務を把握している優秀な社員よりも、会社に一度も足を踏み入れたことのない株主のほうが商法上の立場は上である。これは一見して“大きな矛盾”のようにも思えるが、実はそうとも限らない。それは各者が背負うリスクの大きさに起因している。
資本主義では「最も大きなリスクを背負った者が、最も大きなリターンを得る権利を持つ」というルールに則っているため、リスクの大きさの順に優先順位を並べれば、「株主>経営者>社員」となるのだ。
例えば、投資家(株主)から提供された1億円の資金で新規事業を立ち上げて、現場の社員達は昼夜を惜しんでプロジェクトの遂行に励んだが、残念ながら失敗してしまったとしよう。この場合、出資した株主は経済的に大きな損失を被ることになるが、実際にプロジェクトを担当した社員達が、自ら借金を背負うことはない上に、当月の給料もしっかりと支払われる。つまり、社員は常にノーリスクで給料をもらえる立場であるが故に、いざという時の権利は弱い。
そうは言っても、社員のがんばりなくして企業の業績向上はあり得ないため、経営者としては大株主の顔色ばかりを伺って、社員の立場を冷遇していたのでは、社内の志気にも関わってくる。そこで経営者と社員とがリスクを共有する形で自分達の会社を守り立てていくことも、新しい時代の経営術として考えてみる必要がある。
(起業家のための成功法則一覧へ)
●株式会社のリスクと、見直される有限会社の利点
●株式会社における従業員持株会の仕組み
●経営者が所在を把握できる有限会社の株式の特性
●未上場企業の株をめぐるトラブルと“死に体”企業の転売ゲーム
●会社経営者が背負うリスクと、もらうべき報酬額との相関関係
JNEWS LETTER 2005.3.18
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