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目標売上高を達成する
必要固定客数の求め方
written in 1999.8.28

 大型ストアー(実店舗)が新規開店する際には『会員カードを作ると次回お買い物時から5%分の割引ポイントが蓄積されてお得です』といったロイヤリティ戦略を展開することが多いが、これは固定客を獲得する事に目的がある。

 新しい商圏での出店時はすべてが新規顧客であるが、その中から短期間で多数の固定客を獲得していかないと事業を安定軌道に乗せることはできない。そのためにはロイヤリティマーケティングを軸とした固定客獲得戦略を展開していくことが不可欠となるわけだ。

 しかし実店舗の経営では商圏が限られているために客数にも限界がある。小さな商圏の中に売り場面積の大きな店舗を作っても適正な固定客数が確保できないために事業は成功しない。つまり、商圏規模と固定客数と売り場面積(店舗の規模)には深い関わりがある。

 全国展開する大型チェーンストアーでは過去の経験から自店における「固定客率」や「購入頻度」に関するデータを蓄積している。これらのデータが鮮明になれば、他エリアへの新規出店時には、どれだけの固定客、または売り場面積を設定すれば妥当なのかを下記の公式により算出することが可能だ。


必要固定客数の算出公式(実店舗)

  ┌───────────────────────────────┐
  │              坪当たり年間売上高×固定客率   │
  │ 一坪の必要固定客数 = ───────────────── │
  │              客単価×月間購買頻度×12ヶ月  │
  └───────────────────────────────┘
    (※固定客率とは全売上高の中で固定客が購入する金額の割合)

<例1>
 ・坪当たり年間売上高 -------> 300万円
 ・固定客率 ----------------->  50%
 ・客単価 -------------------> 2,000円
 ・月間購買頻度 ------------->   2回
 (※これらの数値は自店データより作成する)

                 300万円×0.5
 一坪の必要固定客数 = ──────────────
               2,000円×2回×12ヶ月

               150万円
           = ───────=31.25人
               48,000

 これにより売り場面積100坪の店舗なら3125人、200坪の店舗なら6250人の固定客を確保することが必要となる。

 そして、逆の視点から、商圏が固定化されている実店舗では、地域内の市場調査や競合店のシェア率調査により獲得可能な固定客」を事前に予測することができれば、この公式から妥当な売り場面積を算出することも可能になる。


オンラインショップへの応用

 必要固定客数の算出公式をオンラインショップの運営に応用してみよう。

●オンラインショップの必要固定客数

  ┌───────────────────────┐
  │           年間売上高×固定客率  │
  │ 必要固定客数 = ──────────── │
  │           客単価×年間購買頻度  │
  └───────────────────────┘

 オンラインショップの場合には売り場面積を考慮する必要がないために、過去の自店データを元にして「年間売上高(目標値)」「固定客率」「客単価」「年間購買頻度」が把握できれば、売上目標達成に必要な固定客数を算出することができるようになる。

<例2>

 ・年間売上高(目標値) -------> 3000万円
 ・固定客率 ------------------->     50%
 ・客単価 --------------------->  5,000円
 ・年間購買頻度 --------------->      2回

                  3000万円×0.5
    必要固定客数(年間) = ─────────
                   5,000円×2回

                   1500万円
               = ───────=1500人
                   10,000円

 例えば、オンラインショップが固定客サービスのためにメールマガジンを運営する場合、上記の条件であれば最低でも1500名以上の読者を獲得する必要がある。ただし「読者=固定客」には成り得ないために、実際にはその数倍の読者数を獲得しなければ売上目標を達成できないことを理解してほしい。

 固定客からの売上高を上げるために必要な条件は「固定客数」だけでなく「固定客率」「客単価」「年間購買頻度」の4要素であることを今回の公式は教えてくれている。これらのデータは過去の注文記録から計算できるので、自店の固定客化の傾向を分析して弱い要素を強化するための対策を考えることが大切である。


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これは正式会員向けJNEWS LETTER 1999年8月28日号に掲載された記事のサンプルです。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料(個人:月額500円、法人:月額1名300円)による情報提供をメインの活動としています。JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。
 
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