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SOHOの金銭トラブル解決に効果的な
少額訴訟とは
written in 1999.5.10

 「SOHOが納品した仕事の代金をクライアントが支払ってくれない」「オンラインショップで販売した商品代金を踏み倒された」といったスモールビジネスに関わる金銭トラブルは意外と多い。金額が少額であるのと、相手が小規模事業者であるが故に「金銭トラブルになっても大事にはならないだろう」とたかをくくっている悪質な顧客が最近増えはじめているためだ。

 金銭トラブルを法的に解決させるためには訴訟を起こす必要があるが、正式な裁判となれば弁護士を頼んだり、何度も裁判所へ出向いたりで費用的にも時間的にも大きな負担となってしまう。

 数百万円規模以上の大きなトラブルなら、それだけの負担を覚悟しても売掛金を回収する意義があるが、数万円程度の未収金では弁護士費用だけで大幅な赤字になるために訴訟にまで発展させる小規模事業者はほとんど存在しない。何度も請求して、それでも未払いのままなら諦めてしまっているのが現状。そこに付け入り、少額代金の踏み倒しばかりをする確信犯も存在する。

 そんな小規模事業者が抱える金銭トラブルを容易に解決させるための手段として「少額訴訟」という制度がある。この手続きをおこなうことにより、30万円以下の支払いを求める訴訟を安い費用と短い時間で簡単に起こすことが可能だ。


少額訴訟の仕組み

 30万円以下の金銭の支払いを求める訴えに対して、簡易裁判所が原則として1回の期日で審理を終了し、直ちに判決を言い渡すのが少額訴訟制度である。判決によって原告側の訴えが認められれば、被告側は未払い金を支払う義務が正式に発生して、それに従わない場合には判決内容の強制執行もあり得る。

 訴訟にかかる費用は金銭支払い請求額の約1%の収入印紙代金と、被告に書類を送付するための郵便代として4000円程度。また少額訴訟では弁護士を立てない本人訴訟となるために、トータルでも1万円以内の費用で30万円以下の金銭トラブルを法的に解決させることが可能だ。


少額訴訟の手続き

 少額訴訟を起こす場合には原則として相手側(訴える側)の住所を管轄する簡易裁判所に訴状を提出する。各簡易裁判所では訴状のサンプルが用意されているために、それを見ながら必要事項を記入すれば法律の素人でも手続きをすることは難しくない。

 それでも手続きに関して不安な場合には司法書士に相談して申請を代行してもらうことも可能だ。

 訴状が簡易裁判所側に受理されると審理する期日が決められて原告側と被告側の双方に通知される。審理当日には裁判所が双方の言い分を聞いたり、証拠調べをおこなって判決を下す。その際に契約書や注文書、宅配便業者の納品伝票を証拠書類として提出し、確かに被告側に未払いがあることが証明できれば、原告側の訴えが認められるはずだ。

 また被告側が正当な理由(病気等)なく審理当日に欠席した場合には原告側の訴えがそのまま認められることもある。


少額訴訟のメリット

 「たかが少額代金の未払いに裁判沙汰はないだろう」と小規模事業者を甘く見ている悪徳顧客に対して少額訴訟は絶大な効果を表す。訴状が裁判所から未払い顧客側に届けられた後に、再度支払い意志の有無を確認すれば、ほとんどのケースで審理当日を前に「和解」という形で金銭トラブルが解決する。

 代金未払い顧客に対して実際に少額訴訟を起こすかどうかの判断は別として、悪徳顧客に対しては「少額代金でも訴訟が起こせること」「訴訟のためのコストは大変安いために原告側としては何ら問題がないこと」を通知することは効果的だ。金銭トラブルを法的に健全な形で解決させるノウハウを持っている小規模事業者になることで、悪徳顧客のターゲットにはされないはずだ。

 なお少額訴訟に関する詳しい手続き内容に関しては最寄りの簡易裁判所で確認してもらいたい。

※少額訴訟は同一業者が1年に10回までしか利用することができない。


■JNEWS LETTER関連情報
JNEWS LETTER 99.2.16
<気を付けておきたい売掛金の時効とその対策>
https://www.jnews.com/mem/back/1999/199902/j990216.html
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これは正式会員向けJNEWS LETTER 1999年5月10日号に掲載された記事のサンプルです。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料(個人:月額500円、法人:月額1名300円)による情報提供をメインの活動としています。JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。
 
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