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気を付けておきたい売掛金の時効とその対策
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written in 1999.2.16
SOHOの仕事には信頼関係に依存した部分が大きい。クライアントから大きなホームページ制作の仕事を受注しても一人のSOHOだけでは手が足りないために、仲間のSOHOと仕事を分担するケースも多い。
日頃の付き合いが良好な仲間同士だけに、仕事の受発注に関しては正式な契約書を交わすこともなく口頭やメールで金額面の打ち合わせをして仕事に取りかかるのが一般的。しかし万が一、金銭面の未払いトラブルが生じた場合にはクールな交渉がしにくく、話がこじれることもある。
また企業とSOHOの取引でも、立場的にSOHOが弱いために企業側の支払期日がルーズになることもある。特に最近は不況のために資金繰りが厳しい会社になれば長期間にわたり支払いが滞ることもある。その他、オンラインショップ経営なら「商品先送り代金後払い制」により代金未回収になることも一定の確率であり得る。
このようにどんな商売にも未払いリスクが付き物だが、もしも取引先や顧客が売掛金を払ってくれない場合には、それなりの対策を講じる必要がある。法的に売掛金の時効は2年であるために、曖昧な返答で支払いを2年以上にわたり遅延されると売掛金の権利が消滅してしまうこともある。それを回避するための手段を解説しよう。
時効を中断させる方法
数万円程度の売掛金なら踏み倒されても被害は少ないが、数百万円〜数千万円の売掛金未払いとなれば「2年経過→時効」では死活問題になる。そこで売掛金の時効を中断させる手続きをおこなう必要がある。
<●売掛金を承認させる>
未払い被害を被っている債権者側が「支払い契約書」または「残高確認書」を作成して、支払いを滞っている取引先や顧客(債務者)に対して郵送または直接渡すようにする。その書類に債務者が署名捺印した時点で債務を承認したことになり時効は中断する。(そこから2年後が新しい時効成立日)
これを正式な書類無しで「払ってください」「○月○日までに払います」という口頭の交渉だけでおこなえば売掛金の存在自体が明確にならないために法的に債権者側が不利な立場になる。
<●内容証明郵便で請求する>
取引先や顧客が自分の債務を認めない場合には、時効期間内に請求書を送付する。ただしその際には「内容証明郵便」で郵送しなければならない。内容証明により債務者への請求書送付日が確定すれば、そこから6ヶ月間は時効が中断する。その6ヶ月以内に支払い交渉をすることになるが、それでも支払ってもらえない場合には訴訟を起こすなどの強攻策をとる必要がある。
内容証明郵便は一行は20字以内、行数は26行以内で、必ず記載しなければいけない事項等の条件が細かく定められている。大企業では顧問弁護士が内容証明郵便を作成することが多いが、内容証明郵便の書き方に関する書籍もたくさん出版されているために、勉強すればSOHO自身でも問題なく作成することができる。
時効は主張されて成立する
売掛金の時効は、債務者側に主張されてはじめて成立するものだ。つまり2年後に時効期限が経過しても債務者側に支払う意志があれば債権は消滅せず、支払いを受けることが可能だ。しかし、したたかな債務者は「その売掛金はもう時効ですよ」と主張する術を知っているために、前述のような売掛金の時効に対する知識と対抗策を商売人の基礎知識として覚えておきたい。
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これは正式会員向けJNEWS LETTER 1999年2月16日号に掲載された記事のサンプルです。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料(個人:月額500円、法人:月額1名300円)による情報提供をメインの活動としています。JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。
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