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価格競争・特売戦略が導く「緩慢な自殺」へのシナリオ

Written in 1998.9.20



 極論を言えば価格競争が進行してきた業界は既に成熟産業であり、それに変わる新規事業を早い段階で見つけたほうが良い。事業相談の中でも「業界内の価格競争に巻き込まれているが、その解決策は何なのか」という質問を多くの読者からいただくが、それはやはり新製品、新サービス開発に生き残りの道を見つけるしかない。

 しかしその業界に長年従事していた人達は、一つの地点に留まって何とか乗り切ろうとする傾向が強く、特に小売業にその事例が多く見られる。特売セールをすることで一時的に来店客数や売上が伸びるが、実はこれが業界基盤を大きく揺るがしている。複数の小売店経営者からヒアリングをおこなっても継続的な価格競争(特売セール)は「緩慢な自殺」だという意見が聞かれるが、現場関係者が体験している厳しい現状をまとめてみよう。




特売セールの商品設定


 新聞チラシに掲載されている特売情報を見ていると、特売対象となっている商品のほとんどは有名ブランド(一流メーカー)品ばかりであることに気付く。これは最近の顧客動向が有名ブランド品の特売にしか反応しにくくなっているためである。例えばスーパーの特売でインスタントラーメンを安売りする場合なら、数あるアイテムの中から一番人気の高い商品を特売対象としなければ顧客動員数は伸びない傾向が顕著だ。




特売セールの影響力


 どの店でも初めての特売セールでは大きな効果を示す。しかしこれに気をよくして同じ内容の特売を繰り返すことで急激に顧客動員力を失っていくようだ。

 特売の価格設定には十分な値ごろ感を出す必要があるが、具体的に顧客側が安いと感じる水準は通常価格の30%offだと言われている。平常時の販売価格を定価の1割引に設定している場合には、そこから3割引きとするために定価の63%(0.9×0.7)が特売価格と算出されるが、これはほぼ仕入れ値と同じ水準かそれ以下である。ここから人件費や広告費が差し引かれるために特売商品自体は、ほとんど赤字となっているのが実態だ。

 更に特売セールで注意しなければならないのが他店との競合関係。同じ商圏内にある1社が特売セールを組めば、間違いなく同業他社もそれに追随することになる。これが競合店同士の首を絞め合い競争が泥沼化していくこととなる。




特売戦略の問題点


 最近の特売戦略が以前と異なってきているのは消費者側にとって特売での商品購入が慢性化している点にある。小売業者側は従来の売上高を特売セールによって拡大させ、その売上増加率の一部を特売終了後にも維持させることにあるが、それが裏目になりつつある。

<特売セールによる理想的な売上推移>

[従来の売上水準]    +********************     (日商60万円)
[特売期間中の売上水準] +******************************(日商90万円)
[特売終了後の売上水準] +************************   (日商72万円)
                       ----
                       ↑
                       │
                       │
              (特売による実質的な店側のメリット分)

 しかし特売セールが慢性化してくると特売セールの期間中のみ売上が増加して、特売終了後に従来の売上水準を割り込んでしまう現象が起こり始めるのだ。

<特売セール慢性化による売上推移>

[従来の売上水準]    +********************     (日商60万円)
[特売期間中の売上水準] +******************************(日商90万円)
[特売終了後の売上水準] +******************      (日商54万円)
                      --
                      ↑
                      │
                      │
              (特売による実質的な店側の損失分)

 特売終了後の売上高が特売前の水準に戻らなくなるのは、頻繁に特売セールがおこなわれることを消費者が学習することで平常価格時の買い控えが発生するためだ。つまりこの小売店では特売セールの慢性化が「価格復元力の低下」を引き起こしていることになる。

 これに店側が気付いた段階で特売戦略を廃止しようとしても既に同じ商圏にある競合店同士で特売合戦が繰り広げられている最中であるために手の打ちようがなくなる。あとはただ「緩慢な自殺」への道を歩んでいくだけなのだ。

 この様に積極的な販売戦略を推進しようとして自らが商圏を潰してしまうことがよくある。また望まなくとも他店との値引き競争に巻き込まれてしまうことも珍しくない。この段階で値引き競争を解消させる新製品、新サービスが投入されない業界ならば、それが成長限界点と判断して新規事業を模索するのが賢い選択なのかもしれない。


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