日本では農業で使われる肥料原料の大半を輸出に依存しているが、2022年以降は原料となるアンモニア、窒素、硝酸塩、リン酸、塩化カリウムなどが高騰しており、その影響による食品価格の値上げも避けられない状況となっている。(JNEWSについてトップページ
肥料不足から勃発する食品高騰の構造と有機肥料開発

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JNEWS会員配信日 2022/3/30

 2022年後半から食料価格の高騰が懸念されるのは、肥料が不足していることも関係している。化学肥料の原材料となるアンモニア、窒素、硝酸塩、リン酸、塩化カリウムの価格は、前年比で約30%上昇しており、すべての農業において影響が出るためである。日本では、中国、マレーシア、カナダなどから化学肥料の原料を輸入して、国内のメーカーが生産する流れとなっている。農作物の栽培をするのに肥料は不可欠で、農業経営にかかる費用の中でも、肥料代が占める割合は水田が10%、畑作が16%となっているため、肥料代の値上がりによる影響は大きい。

《肥料原料の輸入内訳(日本)》

肥料価格が高騰している要因は、世界的な人口の増加や食生活の変化により穀物消費量が増加して、肥料の国際的な需要も増えていること。また化学肥料の製造に必要な石油や天然ガスの相場も、ウクライナ危機によって高騰していることが関係している。これまで肥料原料の主な輸出国であった中国は、国内農業での需要が増えていることを理由に、2021年10月頃からは主要メーカーが他国への輸出を中止している。

 化学肥料の供給不足を転機として、農業生産者の中では有機肥料を見直す動きも出始めている。有機肥料には、鶏糞、魚粉、骨粉、米ぬか、枯れ草など、動物や植物から出る廃棄物を活用することができ、長期間使用すれば土壌を改善できる効果もある。ただし、大量生産には向かず、化学肥料よりも即効性も低いという欠点があった。

《化学肥料の長所と短所》
 ○ 即効性が高く、植物に吸収されやすい
 ○ 臭いやガスが発生しにくい
 ○ 工場での大量生産が可能
 × 土の中の微生物が減る、土地が痩せる
 × 河川に流れると環境汚染に繋がる
 × 多用すると害虫が付きやすい

《有機肥料の長所と短所》
 ○ 土壌の改善効果がある
 ○ 作物が病気になりにくい
 ○ 効果が長く持続する
 × 入手できる原材料が少ない
 × 工場での大量生産が難しい
 × 化学肥料よりも使い方が難しい

これらの長所と欠点を踏まえた上で、新たな有機肥料の開発がビジネスチャンスと捉えられている。その背景には、各国が肥料の法規制を緩和しはじめていることがある。

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