テイクアウト用リユース容器のレンタルビジネス
ファーストフード店やカフェでテイクアウトする時には、使い捨て容器が利用されてきたが、この習慣も過去のものになりつつある。欧州では、テイクアウトにも再利用可能な容器が使われるようになっている。中身を消費した後に、回収、洗浄、再利用するカップやトレイは「リターナブル容器」と呼ばれ、機能とデザイン性の面から、新たな商品開発がビジネスチャンスになっている。
2016年にドイツで創業した「RECUP」は、料理やドリンクのテイクアウトサービスに適したターナブル容器を開発するスタートアップ企業で、単に容器の提供をするだけでなく、使用済みの回収までを含めたビジネスモデルを形成している。
RECUP社では、500~1000回までの洗浄、再利用が可能なテイクアウト用のマグカップと料理用ボウルを開発して、テイクアウトサービスを実施する飲食業者に提供している。マグカップには1ユーロ(約130円)、料理用ボウルには5ユーロ(約650円)のデポジット(預託金)がかけられており、テイクアウトする顧客は商品代金+容器のデポジット代を飲食店に支払う。
食べ終わった容器の返却場所は購入元の店舗だけではなく、ドイツ国内にある9400ヶ所の加盟店舗で対応する。店では返却時にデポジットの返金を行うが、容器は自店で洗浄して、次の顧客に再利用することができる。また、顧客自身が容器を自宅で洗浄して、次回のテイクアウトで使うことも可能だ。
■RECUP利用の紹介映像
RECUP社のビジネスは、飲食店舗に対して月額25~45ユーロ(約3250~5850円)の月額システム料金と、レンタルする容器数×デポジット代を徴収する収益構造になっている。デポジット代は容器を返却すれば返金されるため、実質コストは月額システム料金の部分になるが、1日のテイクアウト注文が12件を超す店舗では、使い捨て容器を購入するよりもコスト節減になるように設定されている。
デポジット制によるテイクアウト容器の返却スキームは、飲食店が独自に実施することも可能だが、返却先が限定されるため、消費者にとっては利用しにくい欠点がある。
ドイツでは、2021年から使い捨てプラ容器の使用が禁止されており、ファーストフード店舗でも、返却→再利用されるリユース容器に切り替えているが、消費者にとって不便な容器返却は、客数減少の要因になることから、便利な返却方法を考案するリユース容器の新興ビジネスが成り立つようになっている。
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