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ラストマイル配送向けEV商用貨物車の性能と所有コスト

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JNEWS会員配信日 2021/4/24

 商用貨物車の分野にもEV化(電動化)の波は訪れている。燃料を使わずに、オイル交換ななどのメンテナンス費用がかからないという点では、乗用車よりも稼働時間が長い貨物車のほうがEV化のメリットは大きいが、バッテリー容量の問題から、長距離運送ではなく、ラストマイル配送での利用が主体になるとみられている。

米国デトロイトを拠点にする「Electric Last Mile(ELMS)」は、EV化された商用貨物車を開発するスタートアップ企業で、2021年後半に米国初のEV貨物バンとなる「ELMS EV URBAN DELIVERY(アーバンデリバリー)」を発売する計画だ。このモデルには、既に45,000台の予約注文が入っている。

アーバンデリバリーは、最大積載量が約1トンの商用バンで、42kWhのバッテリーを搭載して1回2時間の充電で最大150マイル(約240km)を走行することができる。1トンの積載量は、日本の軽貨物車(最大積載量350kg)と比べて3倍のサイズだが、車両価格は25,000ドル(約270万円)に抑えられている。


ELMSのビジネスは、EVをゼロから開発するのではなく、他メーカーから調達した車体プラットフォーム、バッテリー、モーターなどの主要部品を組み合わせることで、ハイスペックな性能は追わずに、安価で信頼性の高い商用貨物車を目指している。充電1回あたりの走行可能距離を150マイルとしているのも、ラストマイル配送の平均走行距離が1日40~60マイル(64~96km)というデータに基づいている。

米国の商用貨物EVの開発では「Total Cost of Ownership(TCO)」という指標が重視されている。これは、車両の購入から維持にかかる総所有コストを示したもので、燃料代や定期的なオイル交換が必要なエンジン車と比較して、TCOが30~50%低い車両を開発することが目標に掲げられている。

その一方で、アーバンデリバリーには、車載IoTメーカーのGeotab社が開発する車両運行システムを搭載することができ、車両の現在地、平均速度、バッテリー残量などを、遠隔の運行管理者がモニタリングしながら配送スケジュールを最適化することも視野に入れられている。ラストマイル配送では、雇用ドライバーと請負ドライバーが混在する中での複雑な運行管理が必要となり、それをクラウドで行えるIoTデバイスとソフトウエアの開発にも大きな市場が見込まれている。

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