早朝の時間帯を活用したアウトドアストアの業態開発
3密をできるだけ避けようとする生活習慣の変化は、消費者の買い物スタイルにも現れている。全国スーパーマーケット協会が、2020年4月に首都圏で行った調査によると、消費者がスーパーに来店する時間帯は、新型コロナの流行前は昼から夕方にかけて(11時~18時)がピークになっていたが、流行後はピークの山が、朝方の時間帯に若干ずれている。これは、在宅勤務者の増加と、混雑する時間帯を避けたいと考える消費者が増えていることが理由と考えられている。
コロナの終息後も、混雑を避けようとする消費者心理が続くとすれば、従来のオフピークタイムになっていた夜間や早朝にかけての時間帯を開拓することが、小売業、サービス業者にとっての狙い目となる。具体例として米国では、早朝から屋外で開催されるファーマーズマーケットが売上を伸ばしている。
米国のファーマーズマーケットは、日本の朝市や農産物直売所よりも規模が大きく、50~100以上の農業生産者が集まり、収穫したばかりの野菜や果物、自家製の加工食品を直販する形態だ。米国の農業統計によると、全米では8600ヶ所以上で、週に1~2日、早朝から午前中にかけて開催されている。ファーマーズマーケットを訪れた消費者は、1回あたり平均14,547ドルの買い物をしている。
コロナ禍では、レストラン業者からの食材需要が減少したことから、生産者は余剰食材を販売するルートとして、ファーマーズマーケットが活用され、消費者にとっても新鮮な食材を安全に購入できる先として、双方のメリットが一致した。
その中でも、「カーブサイドピックアップ」と呼ばれる、事前注文した商品を駐車場で受け取れる方式を導入したファーマーズマーケットの人気が高まっている。
マサチューセッツ州マッシュフィールドで運営される「マッシュフィールド・ファーマーズマーケット」では、出店する生産者のうち30業者の商品を対象にして、オンラインで前々日の午前10時までに希望の商品を注文すると、マーケット当日の午前10時~12時の間に、駐車場で商品を受け取れるようにしている。
米国のファーマーズマーケットは、地方だけでなく、都市部でも開催されており、ニューヨーク州でも400ヶ所以上のファーマーズマーケットが運営されている。当初は、農業生産者の集まりがボランティアベースで運営していたものだが、市場規模の拡大によって、地域の出資者や金融機関からの資金調達をして「マーケットマネージャー」と呼ばれる専従管理職を雇い、収益事業としても展開されるようになっている。ファーマーズマーケットは、早朝の時間帯に観光客を集客できる、観光コンテンツとしても期待されている。
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