プラスチックフリー店舗の業態開発とビジネスモデル
世界で最もプラスチック容器に対する規制強化が進んでいるのは欧州で、EU理事会は2019年5月に「使い捨てプラスチック容器の流通を2021年までに禁止する法案」を採択している。これにより、EU加盟国の小売店や飲食店は、使い捨て用途のプラスチック、発泡スチロール容器の大半が使えなくなる。
《EUで流通が禁止される使い捨て容器》
・プラスチック製カトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン、箸)
・プラスチック製の皿
・プラスチック製ストロー
・発泡スチロール製の食品容器
・発泡ポリスチレン製飲料容器
・発泡ポリスチレン製の飲料用カップ
・オキソ分解性のプラスチック製品
こうした規制を受けて、使い捨て容器を一切使わないスーパーマーケットの業態転換が進められている。英国のスーパーマーケットチェーン、ウェイトローズ社では、「Waitrose Unpacked」という完全なプラスチックフリーを目指した新業態の店舗を2019年6月から実験的に期間限定でオープンさせた。同社は、消費者の反応を見ながら、既存の店舗を、今後のプラスチックフリー社会に適応した、新店舗へ改装していくスケジュールを見定めていく方針だ。
Waitrose Unpackedの店舗では、野菜や果物などの生鮮品が未包装のまま陳列されていて、来店客は好きな数量だけ買い物カゴにピックアップしていく。コーヒー豆・ナッツ・コメなどの乾燥食品はガラス製のディスペンサーに収納されており、希望の分量だけグラム単位で購入して紙製の袋に小分けする。ビールやワイン、洗剤やシャンプーも量り売りの形態で、再利用可能なボトルに充填して持ち帰る方式だ。加工食品や冷凍食品の梱包用トレイも、堆肥として自然分解される素材が使われている。
■Waitrose Unpacked店舗の紹介映像
欧州では、他のスーパーマーケットチェーンでも、プラスチックフリー店舗の開発を進めているが、その方向性は、野菜、果物、肉、魚などの生鮮品は未包装のまま販売する、昔の八百屋に近い業態に回帰している。
プラスチックのラッピングや発泡スチロール容器の代替品を採用する方法も試されているが、従来よりも包装コストが高くなる上、商品の外観が見にくくなってしまうため、売上が減少するという結果も出ている。そこで、逆に「未包装(パッケージフリー)」としたほうが無駄なコストを削減して、エコフレンドリーな店舗としての付加価値を高めることができる。
(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2020.1.25
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
■この記事に関連したJNEWS会員向けバックナンバー
・コロナ危機で生じる食糧問題の特徴と新フードビジネス
・返品商品が清算されるリバースロジスティクス最前線
・D2Cで展開される新アパレル企業の透明性と採算構造
・モノ依存から脱却するミニマリスト向け不用品売却サービス
・リピート購入を促す日用品ブランド構築とボックス開発
・マイ水筒ユーザーをカフェの優良客に取り込む循環ビジネス
※バックナンバー用ID、PASSWORDを入力してご覧ください。
(環境ビジネス事例)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)
これは正式会員向けJNEWS LETTER(2020年1月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。