廃棄食品の仲介をするフードバンクのビジネスモデル
食べられる未開封の商品を意図的に廃棄することには、社会的な批判も厳しくなることから、大手のスーパーやコンビニチェーンでは、売れ残り商品の再利用ルートを新たに開拓する必要が出てくる。そこで浮上するのが「フードバンク」の存在である。
フードバンクは、食品メーカーや小売店から生じる、まだ食べられるにもかかわらず廃棄される食品を引き取り、それを必要とする施設や団体に提供する役割を担っている。農林水産省の調査によると、平成29年の時点で国内にはフードバンクの活動を行う組織が77団体あるが、その大半は、NPO法人や生活協同組合などの非営利団体で、無給ボランティアスタッフにより運営されている。現状では、収益を生む事業としては確立していないのが実情である。
一方、米国には数千件規模のフードバンクがあり、非営利の活動ではあるが収益事業として成り立っている。わかりやすいのは、食品業者から寄付された食材を福祉団体や慈善団体などの需用者に安価で販売することだが、これは各州の法律によって禁止されているケースが多い。
そこで、需用者を会員制として月額会費を徴収することや、倉庫の管理や配送にかかる費用を「共同メンテナス費」として徴収することが、主な収益源になっている。共同メンテナス費は、配布する食材の重量に対して課金する方式で、1ポンド(453g)あたり0.19ドルが上限値となっている。
米国では、食材の品質管理が厳しいため、流通経路で返品になる商品も多い。
たとえば、大手スーパーに納品された野菜の中で、若干の傷があって返品対象となったものは、運送業者が出荷元の倉庫まで持ち帰るよりも、帰路の途中にあるフードバンクへ寄付したほうが、ローコストで済む。そのため、フードバンクが食品リバースロジステックの拠点として活用されているのだ。
(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2019.2.26
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
■この記事に関連したJNEWS会員向けバックナンバー
・セルフオーダー端末による飲食店の客単価向上と経営改革
・フードトラックの進化形と宅配レストランのビジネスモデル
・漁師から飲食店への流通改革を仕掛けるフードテックビジネス
・eフードビジネスによる中小飲食店の生き残りと再生の方向性
・世界の食料不足に備えたアーバンファーム(都市農業)への着目
※アクセスにはJNEWS会員ID、PASSWORDが必要です。
これは正式会員向けJNEWS LETTER(2019年2月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。