JNEWS会員配信日 2016/4/4
電力の完全自由化で、新電力会社(PPS)の数が数百者に増えると、利用者はどの事業者を選ぶのがベストなのかを判断することが難しい。そこで、ネットで電力会社の比較検討ができるサービスへの商機も見込まれている。
ただし、電気の契約は、住んでいる地域、家族の人数、電気を使う主な時間帯などの条件によっても、最善の選択肢は異なるため、単純な比較ではなく、高度なアルゴリズムによる料金シミュレーションの技術が必要になる。試しに、複数の電力比較サイトで、同条件によるシミュレーションをしてみると、推奨される電力会社の一覧には違いがあることに気付く。
日本よりも先に、電力自由化が完全実施されている欧州では、複数の電力会社の中から最適なプランを比較検討できるサービスが普及しており、これらは「スイッチングサービス」と呼ばれている。
フランス本社の「selectra(セレクトラ)」というサイトは、一般家庭など個人ユーザーを対象にした、電気・ガス会社の料金比較ができるサービスを欧州7か国で展開しており、年間のサイト訪問者数は1,500万人、月間 15,000〜20,000件の契約を仲介している。
同社は、パリ政治学院の学生2名が2007年に創業したベンチャー企業だが、自由化された電力市場の中で、消費者に対して公平中立な比較サービスを提供することで業績を拡大している。現在の社員数はグループ全体で 240名、2015年の売上は950万ユーロ(約12億円)。
■selectra http://selectra.info/
欧州の電力業界は、自由化後に業者数が増えるだけでなく、料金プランも多種多様になっていることから、比較検討システムのノウハウも、ユーザーの利用件数が多い比較サイトほど、シミュレーションの精度を高めていくことができる。
※selectraは、住宅の面積、テレビ、エアコン、ドライヤー、パソコンなどの台数、調理器具や浴室の条件などを指定して、最適の電力会社と契約プランを検索することができる。
セレクトラのビジネスモデルは、ユーザーが比較検討をして、提携する電力会社への契約に至った場合に、1契約あたりの報酬を電力会社から受け取る仕組みになっている。ただし、比較検討サービスでは、検索システムの中立性が重視されるため、提携をしていない電力会社も平等な比較対象としており、提携先だけを“推奨業者”として強調することは行っていない。
公平な比較検討サービスを貫くことで、ユーザーからの信頼性は高まり、それがアクセスの増加(集客力)に繋がり、提携を希望する電力会社の数が増えていく流れとなる。そして最終的に、すべての電力会社と提携することがゴールになる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です→記事一覧)
《セレクトラの売上高推移(グループ全体)》
・2010年…… 4.6万ユーロ
・2011年…… 86.4万ユーロ
・2012年……208.1万ユーロ
・2013年……333.9万ユーロ
・2015年……951.3万ユーロ
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※出所:同社会社資料
■JNEWS会員レポートの主な項目
●新電力会社代理店ビジネスの業界構造
●加熱する新電力の乗り換えマーケティング
●電力契約乗り換えを促すスイッチングサービス
●スマートメーター普及の意味と電力業界への影響
●HEMSによる新サービスの開発と提携モデル
●節電システム開発会社のビジネスモデル
●節電ニーズが高い潜在顧客層の開拓
●自動車と住宅のエネルギー共有ビジネスと電力自由化への商機
●IoTビジネスの幕開けと家電メーカーのビジネスモデル転換
●見積もりサイトに依存するソーラー業者の集客経路
●住宅の資産価値を高めるソーラーリフォーム市場への関わり方
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2016.4.4
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