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日本の黒ニンニクを世界に売る
スペイン農家との共同ビジネス
written in 2012/1/16

 「農業」という括りの中でも、今後は食品以外にも様々な分野へビジネスを拡大していくことが可能だ。ただし、そのためには多くの資金や人手が必要になるため、家族経営の小規模な農家がどのように事業拡大していくのかが、悩みどころになる。

日本では、複数の農家が集まって「農業法人」を設立するケースが増えてきたが、それでも事業を多角化していくには、外部の企業、専門家、金融機関などとパートナーシップを組んでいくことが必要だろう。

その仕組みとして、スペインには「ソシオ(Socio)」という伝統的な共同経営のスタイルがある。ソシオは、共同で会社や組織を運営する「仲間」のことを指す言葉だが、必ずしも営利目的の集まりでなくてもよい。NPOやNGOなどの非営利団体もソシオの一員として参加していることもある。

有名な例では、プロサッカーチームの「FCバルセロナ」もソシオの形態によって運営されており、その中にはオーナー企業や株主がいるわけではなくて、ファン達がソシオの会員となり、年会費を払ったり、年間チケットを購入することによる共同経営がされているのだ。

スペインでは、2人以上が共同で経営する事業組織において、その経営メンバーのことを総じて「ソシオ」と呼んでおり、出資額に応じて利益の分配を得ることができる他、金銭の出資はしなくても、サービス・専門知識を生かしたアドバイス・特殊技術の提供という形で運営に参加し、収益の分配を受けることも可能になっている。

そのため、小規模な農家が事業を拡大していく過程でも、ソシオのメンバーとして仲間を集めた共同経営が主流になっている。メンバーの参加条件や権利の決め方、借金に対する責任の所在などは、通常の株式会社よりも複雑なため、弁護士がソシオの一員として参加していることもある。

《スペイン農家の事業拡大モデル》

  

 こうした農業ビジネスの共同パートナーは、スペイン国内に限らず世界を対象に求められており、日本からでも参加することは可能である。日本の農業は、耕作面積が狭いものの、栽培技術については高度なノウハウを持っているため、提携の方法は色々と考えられるのだ。

じつは、スペインのオーガニック農家(農業をベースにしたベンチャー企業)と合弁会社を設立し、欧州マーケットを目指す日本の農家が既に存在している。スペインの「エセンシア・ルーラル(EsenciaRural)」社との合弁事業を始めた、京都丹後の有限会社「創造工房」だ。同社は、生のニンニクを発酵させた黒ニンニク(商品名:フルーツ・ガーリック)を日本国内で製造・販売している。

黒ニンニクは、60度以上の環境で1ヶ月ほど発酵させることで、ニンニク特有の匂いが消えて食べやすくなり、本来の栄養成分に加えてポリフェノールの含有量も増えることから、健康食品としても注目されている。

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この記事の核となる項目
 ●欧州の農家に学ぶ第6次産業の理想型
 ●ワインツーリズムに学ぶ農園観光事業
 ●ワインツーリズムによる観光客の集客
 ●農家が手掛ける新商品とエネルギー事業
 ●スペイン農家の事業拡大モデルに学ぶ
 ●日本農家とスペイン農家の共同ビジネス
 ●合弁ビジネスを実現させた不思議な縁
 ●黒ニンニクでEC〜世界市場を狙う
 ●安全な野菜を産直販売するコミュニティ農業(CSA)
 ●円高ユーロ安を好機と捉えた欧州ビジネスの狙い方
 ●スローライフ志向のエリート客を取り込む持続型レストラン
 ●趣味と実益を兼ねたワイン先物取引に学ぶ食農ビジネス
 ●ヤワな日本人には太刀打ちできない一触即発の食糧危機
 ●世界で拡大するベジタリアン市場と崩壊する日本の食文化
 ●農業の新たなビジネスモデル〜アグリルーラルビジネス


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