有機農業で使われる自然の肥料として「ミミズ」のサイドビジネスが米国で流行っている。ミミズの取引単価は牛肉よりも高くて、養殖を専業とする人達もいる。(JNEWSについて
有機農業ブームを追い風に成長するミミズ飼育のサイドビジネス

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 生ゴミを分解するのにミミズが役立つことは日本でも知られて、ミミズを使った生ゴミ処理機(ミミズコンポスト)は売られているが、米国では、それよりも飛躍したミミズビジネスが盛んになっている。

これは、各地で有機農業への取り組みが熱心になってきたことが関係している。ミミズは無害で土を耕してくれる有益な生物として、有機農業には欠かせない。そのため、従来のミミズ養殖業者に限らず、一般の家庭でもミミズを飼育することが米国で流行しており、それをサイドビジネスとして手掛ける人達も増えているのだ。また、生ゴミ処理用のコンポストでもミミズが使われている他、釣り餌としての需要もある。

本業、副業のいずれにしても、ミミズの飼育をビジネスとして行うには、育てたミミズを販売するルートを開拓することが肝心。買い取りをしてくれる業者もあるが、そこに頼っているままでは、売却金額は安くなってしまう。

そこで、ネットオークションで直販することから始めて、継続的な売上を目指すのであれば、自前のサイトを立ち上げて、ミミズを必要としている農家や、家庭菜園の愛好者達を集客するのが良い。

「wormman.com」というサイトのオーナーは、わずか110ドルの資金でミミズの飼育をスタートさせた。当初は庭の土壌を良くすることが目的だったが、ペットの糞やキッチンの生ゴミを“エサ”にすることで、次第にミミズの数は増えていき、同じようにミミズを飼育してみたい人向けに、AOLの無料ホームページを使ってネット販売したところ、初年度に1200ドルの売上があった。

そこで、独自ドメインのサイトを立ち上げ、ビジネスの規模を拡大していった。現在では、ミミズ 250匹が43ドル、500匹で67ドル、それよりも大量に欲しい業者向けには5ポンド(約2.5kg)を150ドルで販売している。

ミミズの小売価格を重さ単位でみると、高級牛肉よりも高いことから、ミミズの飼育業は、家庭菜園と同じスペースでできるサイドビジネスとして脚光を浴びている。価格は需給のバランスによって変動するため、飼育者が増えると収益性は悪くなるが、自宅の生ゴミから増やしたミミズをお金にする発想には、見習うべき点がある。

wormman.com

さらに本格的なミミズビジネスで成功しているのがTerraCycle社で、オーナーののトム・スザキー氏は、大学時代に寮で友人とミミズを飼育しながら、その抜け殻や糞が肥料になることを観察し、大学中の生ゴミを集めてきて、それをエサにしてミミズを飼育。その糞から有機農業向けの肥料を作り出し、販売していった。そのアイデアやノウハウを、銀行や投資家にプレゼンすることで資金を調達して、リサイクル企業へと成長させている。

同社は、世の中にある不要なもの(ゴミ)を再利用して商品に作り変えることを事業の柱にしており、肥料となるミミズの糞を使用済みのペットボトルに入れて商品化しているが、その他にも、使用済みのスナック菓子やジュースの袋で、バッグや玩具などを作って、ウォルマートやホールフーズマーケットなど、大手スーパーの販路に乗せることでも成功している。

TerraCycle

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JNEWS LETTER 2011.11.9
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