環境ビジネス・エコビジネス事例集
  
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  震災で被害を受けた街を再生するには、行政・建設業者・住民とが協力することが必要だが、既に米国では、市民団(NPO)が街の再開発を担当した成功モデルが多数ある。“市民に優しい街”への再整備が各地で行われるにあたり、NPOが活躍できる場は広がっている。
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NPOが参加する“町の再生”と
コミュニティ開発ビジネス
written in 2011/5/12

 大震災の後の復興事業として大仕事なのは、壊滅的な被害を受けた町並みを再生することだが、何もかもが津波で押し流されていった衝撃から、精神面で立ち直るのには、しばらくの歳月がかりそうである。そして、経済的な面では「マイホームを所有(購入)することのリスク」が浮き彫りになってしまった。

これまでの人生設計では、30年以上のローンを組んでマイホームを購入しても、月々の返済額は家賃とあまり変わらないし、家は資産として残るため、賃貸よりも“所有”のほうが得だという考えが主流であった。今後も、マイホームへの憧れが崩れてしまうことは無いにしても、住宅市場に何らかの影響を与えることは間違いなさそうである。

野村証券のレポートでは、消費者心理の悪化により、住宅取得の意欲は減退して、被災地を中心に賃貸住宅への需要が高まると予測している。日本の全世帯における持ち家率は、世帯主が35歳を過ぎた頃から5割を超して、60歳を迎える頃には9割近くになっていた。

《世帯主年齢別にみた持ち家率の推移》

  

《年齢別の住宅ローン残高》

  

※出所:家計調査

しかし、大災害が起きた時のことを考えると、持ち家が消失した後でもローンの返済義務は残る。一方、賃貸であれば、新たな物件に借り換えれば良いだけのこと。実際に、今回の震災を経験した人の中では、家は賃貸、クルマは中古車で十分という価値観が広がっている。

これから新規の物件を購入しようとするオーナーが出てこなければ、賃貸に回ってくる物件も品薄になってしまうわけだが、肝心なのは家を購入したとして、ローンの完済までにかかる期間をできるだけ短くできるような、マイホームの収益化を考える視点だろう。

政府としても、東北の住宅復興策として、今後も津波の被害が想定される地域の集落を、高台へ集団移転させることを検討しているが、そうなれば住宅の所有形態も自ずと変わってきて、新たなホームタウンへと生まれ変わる。その時にどんな町づくりやマイホームが理想となるのかを考えてみたい。

 大災害が起きた後の復興景気で恩恵を受けるのは、建設業者や住宅メーカーだが、これはモノ(ハード)を作るのが仕事で、本当に安全で住みやすい町へと復興するには、それ以外のソフトも必要になる。日本では、ハコモノだけで町づくりを考える風潮が長らく続いていたが、これからの震災復興では、住民との話し合いにより、沿岸部から高台への集団移住なども前提とした、新たな町づくりの仕組みが必要になる。

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この記事の核となる項目
 ●NPOが参加する町の再生とコミュニティ開発
 ●シェアハウスと収益型マイホームの採算
 ●住宅ローンの負担をゼロにする収益住宅のモデル
 ●あらゆる資産を収益化する発想
 ●年収階級別にみた保有資産の内訳
 ●所有から賃貸へと変わる高齢者の老後プラン
 ●マイホーム売却による老後の人生計画
 ●老人ホームは終の棲家といえるか?
 ●老人ホームに代わる終身賃貸住宅の仕組み
 ●マイホーム資産を守れ!目減りする“我が家”の担保価値
 ●マイホームを交換することで生まれる新たなライフスタイル
 ●安い家賃で優雅に暮らすルームシェア・ゲストハウスの台頭


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