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太陽光自家発電システムの スペシャリスト育成と紹介ビジネス |
written in 2010/12/2
日本で“住宅の価値”といえば、立地条件や土地の広さが重視される傾向が今でも続いているが、中古住宅の売買が活発な欧米では、建物自体の性能によって評価がされている。定期的なメンテナンスが行き届いており、不備があれば修繕やリフォームを行い、古い設備が最新型に交換されているような住宅は、築年数が古くても高値で取引がされている。
特に近年では、省エネ性能が優れた住宅に対する人気が高くて、DIYで自家発電装置を設置する人達も増えている。ソーラーパネルによる発電システムにしても、様々な技術やアイデアを組み合わせることで発電量を増やすことが競われている。
米エネルギー省の主催による「Solar Decathlon(ソーラー・デカスロン)」というイベントは、建築を学ぶ大学生を対象にしたソーラー住宅のコンテストで、家電製品や照明などで使う電力に加えて、電気自動車への充電もすべて太陽光発電で賄える家(50〜90平米)を、机上の設計図面だけではなくて、ワシントンDCにある国立公園内の敷地に建設して優劣を競うという大掛かりなものである。
住宅のデザインや太陽光パネルの設置方法を工夫することで、できるだけ大容量の電気を発電させて、できるだけロスが少なく、屋内に配線されたコンセントから家電製品に送電するまでの技術やアイデアも、審査の対象となる。ただし、利用できる設備やパーツは市販品に限られる。その他にも、仕様や性能に関するルールが細かく定められている。
住宅の建設費用は、各参加チームが自己負担するのが原則で、そのためにチームのスポンサーを募って資金を調達することが認められている。住設メーカーなどをスポンサーとして社名や製品のロゴ、ポスターなどを建物内に貼り付けたり、室内にプロモーション音声を流すことなども可能だ。
■Solar Decathlon(ソーラー・デカスロン)
http://www.solardecathlon.gov/
■2009年大会にエントリーされたソーラー住宅
http://www.solardecathlon.gov/past/2009/gallery_homes.cfm
このコンテストに限らず、一般の住宅にソーラー発電システムをDIYで取り付けることは、新たな日曜大工の趣味として盛り上がってきており、それらに必要な資材はネットで購入することができる。「Solar Sphere」はソーラー発電システムのDIYキットや各種パーツを1千種類以上も取り揃えているショッピングサイトで、入門編としては 5〜20ワットの電力が発電できるキットが99〜1000ドルで用意されている。
組み立てた太陽光パネルを自宅の庭やベランダに設置しておけば、昼間の時間帯に電気がバッテリーに充電されるため、それを直流−交流のインバーターで変換して、携帯電話の充電、パソコンやテレビなど家電製品用の電力として使うことができる。
(環境ビジネス・エコビジネス事例集一覧へ)
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●クリーン電力発電への投資と損得勘定
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JNEWS LETTER 2010.12.2
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