環境ビジネス・エコビジネス事例集
  
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  「環境」と「お金」はもともと相反する性質があるが、環境に良い活動をするほどお金が稼げる仕組みを考えることは、環境経済学として旬のテーマになっている。企業が取り組む環境活動は、ただ社会貢献のためではなくて、そこに経済的なメリットが生まれないと長続きしていかない。
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環境ビジネスを収益化する基本モデル
エコトレードの仕組み
written in 2008/1/9

 2008年の北海道洞爺湖サミット(G8:主要国首脳会議)は自然が豊かな洞爺湖を会場に決定したことからもわかるように、世界に対して「環境立国日本」をアピールすることがメインのテーマである。“環境立国”というのは、ただ単に環境問題に配慮するということではなく、環境と経済の活動が共生して社会全体が上手に循環する仕組みのことを指している。もっとわかりやすく言えば、環境貢献型の事業に取り組んでいる企業ほど好業績になるようなビジネスモデルが求められている。

もともと“経済と環境”は裏表の関係にあり、近代的な事業を行うほど環境は悪化するのというのが定説だが、「やればやるほど環境問題が改善するビジネスはないか?」というネタ探しが世界的に活発になっている。これはエコ・エコノミー(環境経済学)と言われる分野で、「環境はタダ」という従来の発想を捨てて、環境を汚染する企業は相応の対価を負担する一方で、環境の保全に役立つ製品やサービスを手掛ける企業に厚い利益が得られるようにする取り組みだ。

幸いにして、お金を払う消費者はその考え方に前向きである。日経BP社が消費者に対して行った環境ブランド調査によると、国内で環境のブランドイメージが高い企業は、トヨタ自動車、ホンダ、イオン、シャープの順になっている。自動車メーカーではハイブリッドなど低燃費車の開発が環境ブランドの確立に直結しているし、イオンは安全と環境に配慮したプライベートブランド商品の充実やレジ袋の削減活動、シャープは液晶テレビの主力工場である亀山工場での環境対策(太陽光発電や燃料電池などの導入)によってブランド力を高めている。企業が環境対策に取り組むには相応のコストがかかるが、それを消費者が評価してくれて売上増に繋がるのであれば、企業の営利活動としても辻褄が合う。

そこで今年は「我が社も環境対応型のビジネスへ参入を!」と意気込む会社が増えてきそうな気配だが、具体的に何をすればよいのかわからないというのが実態ではないだろうか。できることなら多額の設備コストや人員はかけずに、自社の製品や会社のブランドイメージを“環境対応型”へとリニューアルしたいというのが本音だろう。そんな都合の良い話はないかと思いきや、じつは環境イメージやブランド力というものは、お金で買うことができる。環境経済学の理論によると、すべての企業が環境を汚さないで経済活動を続けることは不可能なため、自社が汚してしまう環境負担分を、何らかの環境商品や環境サービスを購入することによって帳消しにできることになっている。

これによって、環境保全活動を専門に行う業者や団体に対して大企業からの資金が流入することになり、社会全体の環境が改善するという仕掛けである。これは「エコ・トレード」と呼ばれる利潤(金銭)と環境の交換ビジネスとして注目されているもので、それが円滑に循環しはじめると世の中で様々な環境サービスが成り立つようになる。その仕組みについて見ていくことにしよう。
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この記事の核となる項目
 ●グリーン電力の取引から学ぶエコトレード
 ●エコのお墨付きを与えるグリーン電力証書の仕組み
 ●エコトレードによる環境プレミアムの売買
 ●環境プレミアムを追い風に見直される新時代の貸し自転車事業
 ●環境プレミアムを売るという発想について
 ●環境を追い風に復活する新タイプの貸し自転車業
 ●形が見えない環境プレミアムを盛り込んだグリーン商品の開発
 ●エコギフトとしての記念植樹サービス〜カーボンオフセット事業
 ●環境問題は本当にお金で解決できるのか?
 ●ロハス消費者に安心を売る認証マーク団体と審査ビジネス
 ●マンション市場から参入するカーシェアリング事業の採算性
 ●ロハスに向けて流行る量り売り商法にみる小売店の新たな役割
 ●グリーンパワーを活用した環境商品と企業ブランドの作り方


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