|
ブランドエコバッグに群がる グリーンコンシューマーの実態 |
written in 2007/9/28
スーパーで購入した商品をレジ袋に詰めてもらうスタイルはお洒落ではない。そんな常識が日本でも根付きつつある。ポリエチレンのレジ袋を止めて、消費者自らが持参した買い物袋に詰めて帰ろうという動きが各所で活発になってきていることはご存じだろう。そこで、どうせならお洒落な買い物袋が欲しいということで、様々なエコバッグ(マイバッグ)がバッグ売り場の品揃えにも登場してきた。
レジ袋を止めることにより、どれだけの環境対策になるのかは定かではないが、消費者が安売りや便利さばかりを追求することから、環境問題を意識した買い物スタイルへと変わることは決して悪いことではない。それに伴って、商品を販売する側の小売企業でもエコバッグの専用部署を開設するなどして、動きが慌ただしい。これは単に買い物袋だけの問題ではなくて、もっと奥深い消費者行動の変化が訪れているためだ。
今年の夏は誰もが“暑い”と感じたが、これが地球温暖化の深刻な影響であることは容易に察しが付く。それに対して地球人として何か環境のために良いアクションを起こさなくてはいけないのだが、いまさら自分がエアコンや自動車の無い不便な生活に戻ることはできない。そうかといって環境保全のボランティア活動に貴重な休日を費やせるかというと、それも難しい。ではそうした環境団体に自分の収入の1割を寄付するのはどうか?我が家にはそれ程の経済的余裕はないという声が聞こえてきそうだ。
ではどんな方法なら自分でも環境に貢献できるのかというと、日頃の買い物で「環境に良いことをしているメーカーや店の商品を買うこと」ならできそうだという考えにたどり着く。自分の物欲を満たしながらも、それが環境に優しいのであれば割高な商品を買うための名目も立つというわけだ。たとえばハイブリッド車の価格は同クラスのガソリン車よりも50万円以上高い。この割高分を燃費で稼ぐには普通の乗り方で7年以上かかるが、その頃には買い換えの時期が訪れる。
しかしハイブリッドの最新技術を堪能しながら、それが環境に貢献しているということであれば十分に納得がいく。レジ袋をエコバックに変えることでも、それが不便なだけなら億劫になるが、ファッションとしてもエコバックを楽しめるのであれば、競うようにそちらのライフスタイルに乗り換えるのが流行に敏感な消費者である。
このようなエコショッピングを楽しむ消費者のことを「グリーンコンシューマー(green consumer)」と呼ぶ。もともとは環境保全の市民活動から生まれた言葉だが、最近ではLOHAS(ロハス)と同様に、購買意欲の高い新たな消費者層として注目されはじめている。この人達は従来の消費者よりも購入単価とリピート率が高いというのが特徴で、小売チェーン企業では表立っては言わないもののロイヤルカスタマーという位置付けで、彼らの囲い込みに力を入れ始めている。エコバッグの導入もその具体的な取り組みの一つというわけだが、そんな背景からすると社内のエコバック担当者は、ただレジ袋からの切り替えをするのではなくて、グリーンコンシューマーの食指を動かせるだけのビジネスモデルをそこに埋め込む必要がある。その動向について掘り下げてみよう。
(地球に優しい環境ビジネス一覧へ)
●エコバッグ開発ビジネスの舞台裏
●エコバッグの導入に向けた企業の算盤勘定
●エコバッグと包装資材業界の深い関係
●エコバッグ開発市場の業界構造
●レジ袋をやめると固定客が増えるという法則
●テイクアウトサービスにおけるマイカップ導入の動き
●マイカップサービスに求められる新たなビジネスモデル
●ボトルキープ方式によるマイカップ自販機の仕組み
●グリーンパワーを活用した環境商品と企業ブランドの作り方
JNEWS LETTER 2007.9.28
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
■この記事に関連したバックナンバー
●ロハスに向けて流行る量り売り商法にみる小売店の新たな役割
●ロハス消費者に安心を売る認証マーク団体と審査ビジネス
●変化する女性のライフスタイルと価値観が生み出す新市場
●モノを売ることから転換する脱物質化ビジネスモデルの胎動
●日本でも本格稼働しはじめる風力ビジネスの仕組みと業界構造
●ゴミを捨てると報酬がもらえるハイテクゴミ箱の開発市場
|
|
|
|