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  「モノ自体を売ること」から「モノの機能を売る」ことにビジネスモデルを転換することをサービサイジングという。それによって消費者は不要になったモノを自分で廃棄しなくても済むし、販売者もモノを値引き販売せずに機能のレンタル料で収益を得られるようになる。
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モノを売ることから転換する
脱物質化ビジネスモデルの胎動
written in 2006/12/17

「商売の基本はモノを売ること」という常識が古くから根付いているが、物品の販売をビジネスの主軸に置くことは既に時代遅れのものになっている。それはデータからも裏付けられることで、物を買い揃えることで“豊かさ”が実感できた1960年代と、物余りの傾向が色濃い現代との各業界の営業利益率を比較すると、家電メーカー(11.2%→2.8%)、自動車メーカー(9.1%→4.4%)、小売業界(3.5%→1.4%)といずれも大きく下落しているのだ。そのため昔と同じようにモノ売りの商売を何十年来と続けているだけでは儲からなくなる一方である。

また環境問題への配慮もモノ売り商売には逆風だ。モノを大量に作って売るというビジネスモデルが地球環境に深刻な影響を与えるようになった結果、作りっぱなし、売りっぱなしをやめて、きちんとリサイクルすることが生産者や販売者の責任であるとの認識が定着してきた。消費者の側でも、不要な物を捨てることにコストがかかる現代では、なるべく物を増やさないようにと努めている。

そこで新たに浮上しているのが「脱物質化(Dematerializat)」というキーワードである。どんなビジネスにおいても製品そのものを売るのではなく、モノ(商品)が持っている機能をサービスとして売ろうという発想だ。これは、モノからサービスへの転換を意味することから「サービサイジング(servicizing)」とも言われている。

たとえば、家電メーカーが新製品を開発したとしよう。これまでなら新製品(モノ)を消費者に販売することでメーカーは収益を得てきたわけだが、それをサービサイジング化して収益を得るにはどのようなビジネスモデルを描けば良いのだろうか?このような発想は家電業界に限らず、これまでモノを扱ってきたあらゆる業界で求められるサービサイジングの波である。サービサイジングの具体的なモデルにはいくつかのパターンがあり、既に先進的な企業ではそれを新規事業の収益モデルに採用することで、従来の商品販売益よりも魅力的な収入を得ることに成功している。この流れが今あるモノ売り主体のビジネスをどう変えていくか詳しく探ってみよう。
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この記事の核となる項目
 ●モノからサービスへの転換〜脱物質化のビジネスモデル
 ●サービサイジングのコンセプトと仕組み
 ●あらゆる業界に求められる脱物質化ビジネスモデルの作り方
 ●欧州と米国における脱物質化コンセプトの違い
 ●塗料メーカーのサービサイジングによる新ビジネスモデル
 ●脱物質化ビジネスモデルの着眼点
 ●自社のビジネスをサービサイジング化するコツ
 ●欧米におけるサービサイジング・ビジネスの種類
 ●販売による収益構造からの脱却を実現した観葉植物の生産業者
 ●脱モノ売りへと前進している米国小売業者の動向
 ●事例:月額会費制による高級バッグのレンタルサービス
 ●ペイパーユーズ方式で製品の利用料を課金する家電メーカー
 ●「所有」でなく「共有」への発想転換による新サービス
 ●ロハスに向けて流行る量り売り商法にみる小売店の新たな役割
 ●書店よりも儲かるレンタルコミックサービスの採算性と問題点



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