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葬儀業者のオンライン戦略
事例:佐藤葬祭
written in 2004/3/16

 普段はあまり考える機会がなく、値切ることもタブー視されているために、何かと不透明な部分が多いのが「お葬式(葬儀)」である。とはいうものの、そこにはしっかりとビジネスが介在していて、人が亡くなった時には、葬儀業者の手を借りなければ遺体を自宅に運ぶことすらできない。もちろん、ビジネス上に改善の余地がなかったわけではない。しかし他業種のようにIT革命や景気の不況が葬儀業界にデフレや合理化をもたらすスピードは鈍く、いまでも新規参入の壁は高いままになっている。

しかし高齢化社会が進む中で、これから葬儀に対する需要が大きく伸びることは間違いない。そこには様々な角度からのビジネスを仕掛けることが可能であるはずだ。消費者の葬儀に対する考え方やニーズはとても多様化してきているが、その受け皿となる現在の葬儀業界では画一的なサービスがまだ大半を占め、消費者側のニーズを十分に捉え切れていない。この業界構造を理解しながら、新しい葬儀ビジネスの方向性と、そこに異業種からの企業や独立起業者が参入するためのポイントを探ってみたい。そこからは、意外にも葬儀業界とインターネットとの相性が良いことがわかる。


葬儀業界における顧客獲得策の現状

 葬儀ビジネスへの参入ポイントを探るためには、まず葬儀業界の仕組みを知る必要がある。結婚式と異なり、葬儀は急を要することが多いために、顧客(契約)獲得のためのセールス活動はあまり行なわれていないように考えがちだが、実際には“契約”の多くが故人の生前におこなわれている。

葬儀業者にとっても“顧客”の獲得が悩ましい課題であることは他業種と変わりはない。日本人の90%が病院で臨終を迎えるといわれている。その際に病院が指定葬儀業者を紹介してくることから、病院と葬儀業者は常に一心同体の関係で、顧客獲得にさほど苦労がないように思われているが、それは極く極く一部の業者に過ぎない。事故や事件などでの死亡の場合は警察指定の葬儀業者となるが、それも同様である。

病院あるいは警察の指定葬儀業者になるには、24時間 365日いつでもすぐに対応できる(遺体の運搬、葬儀の打ち合わせ)専従者を常時1〜2名待機させておく必要がある。指定業者には、いつでも顧客を獲得できるメリットはあるが、それだけ人件費も多くかかる。それゆえ、資本力のある大手の業者しかできないし、その人件費を稼ぎ出すためにいきおい単価の高い葬儀プランを顧客(遺族)に提案する傾向が強い。また葬儀業者の大半は地元密着の家族経営規模なので、寺院の紹介か、「自分が亡くなったらおまえに頼むよ」といった隣保・友人知人との縁故関係を主にした、広い意味での「生前予約」が顧客獲得の方法として定着しているのが一般的である。

しかしそれではいつまでも小さな商いしかできずに、葬祭ビジネスを企業として事業化することは難しい。そこで、もともと葬儀は隣保の相互助け合い事業だったことから、その仕組みを現代的にシステム化して生まれたのが「冠婚葬祭互助会」(以降、互助会)だ。この仕組みを実質的な顧客獲得手段と位置づけ、葬儀以外に結婚や成人式などのイベント需要も取り込むことで、国内の冠婚葬祭ビジネスは成長してきた。しかし葬儀業界の中でも、ベンチャー的な取り組みによってネットから約8割の顧客を集客する葬儀業者も現れている。
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この記事の核となる項目
 ●消費者のニーズに追いつけない葬儀業界の古い体質
 ●葬儀業界の顧客獲得策としての互助会制度の仕組み
 ●利用者側ニーズの多様化が進む葬儀サービスの動向
 ●ホームページで約8割の顧客を“集客”をする葬儀業者
 ●新しい葬儀ビジネスの核となる葬祭コーディネート業の欧米動向
 ●病院と癒着する業界体質を切り崩す新しい葬儀ビジネスの視点
 ●裏社会も動く墓地霊園ビジネスによる利権と宗教法人の関係


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JNEWS LETTER 2004.3.16
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