古着の再販価値を高めるアップサイクリングビジネス
古い物に懐かしさや憧れを抱く心理は、人生経験を積んだ中高年者ばかりでなく20~30代にも広がっており、中古品市場の拡大が、消費の転換トレンドとして明確になっている。アパレル業界では、ファストファッションの売上を古着が追い抜こうとしている勢いだ。
古着オンライン販売プラットフォームの「ThredUp」によると、中古の服、靴、アクセサリーなどを含めた米国の中古市場は、10年前には110億ドルの規模だったが、2022年には430億ドルとなり、2026年に820億ドルまで成長すると予測している。
この背景には、消費者の倹約志向に加えて、環境問題への関心が高まり、セカンドハンド(中古)のファッションを楽しむことが先進的という価値観に変化していることもある。ThredUpの調査では、ミレニアルとZ世代の46%が、新品を購入検討する前に、古着の価格を調べると回答している。
そのため、老舗アパレル企業の中でも、古着を新規事業として取り扱う動きは加速している。これからのアパレルブランドは、新作の服を売るだけではなく、着なくなった服の回収→リサイクル→再販という循環型のビジネスモデルへと再構築していくことが課題になっている。これはリバースコマース、またはリコーマースと呼ばれる事業転換のトレンドで、2022年頃から急速に市場拡大している。
古着の採算は、安く買い取りや下取りをして、新たな顧客に再販すれば高い粗利益を期待できるが、回収された古着がすべて再商品化できるわけではなく、大量の古着を扱うほど、仕分けコストや倉庫費の負担が重くなる構造になっている。
年間に1億アイテムを超す古着を扱う ThredUpの収支状況をみても、売上高に対する粗利益率は約65%と高いものの、在庫管理などのオペレーション費用が嵩む体質となっており、事業としては赤字が続いている。
そのため、最近の古着業界では、消費者から回収した服の付加価値を高めた上で再販することが、好採算の事業にするための急所になっている。これは、通常のリサイクル品をアップグレードして再販価値を高める「アップサイクリング」というムーブメントと重なっている。
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・ヴィンテージ古着の国内流通ルート
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・20~30年前に着眼したヴィンテージ古着の発掘ビジネス
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・JNEWS LETTER 2023.3.1
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