消費者から生まれるキャッシュスタッフィングの節約術
食料品や電気代の高騰によって生活が厳しくなる世帯は、2023年中旬から急速に増えてくることが予測されている。毎月の収入から生活費を差し引いて貯蓄ができる余裕度は、年齢、年収、家族構成によっても違ってくるが、インフレによる生活費の高騰で深刻な影響を受けるのは、20代の単身者と、住宅ローンを抱えた30~40代の世帯と言われている。
金融広報中央委員会(日本銀行)が毎年行っているアンケート調査によると、生活費以外で、将来の備えとなる預金や金融資産を保有していない世帯は、単身世帯が全体の34%、二人以上世帯で22%にもなる。金融資産の保有層でも、2021年から2022年にかけては、資産残高が増えない、または減ったと回答する世帯が全体の75%となっている。貯蓄が200万円未満の割合も、コロナ前と比較して明確に増えている。
生活困窮層が増えている状況は、インフレ率が高い米国のほうが深刻で、バンクオブアメリカが2022年8月に行った調査によると、Z世代の73%は貯蓄をすることが難しくなっており、40%は日常の生活にも支障が出るようになっている。その要因としては、家賃上昇の負担が若い世代ほど重くなっていることが大きい。米国では毎年のペースで家賃の値上げが行われているため、持ち家率が低い若者層ほど、収入に対する家賃比率が高くなっている。
■73% of Gen Z Say Economic Environment Has Made it More Challenging to Save
こうした状況の打開策として、転職や副業で収入アップを目指すことの他に、「楽しく節約すること」が流行してきている。TikTok上では、生活費に危機感を抱く人達の中で「Cashstuffing(キャッシュスタッフィング)」という節約方法が、世界中に口コミで広がっている。
これは、クレジットカードよりも現金払いを優先して、生活に必要な資金を用途別の封筒や整理ポーチなどにラベルを付けて保管しておくことで、次の給料日までの無駄遣いを防ぐ方法である。TikTokでは、多様なアイデアによるキャッシュスタッフィングの動画が次々と投稿されて、関連動画の再生回数は8億回を超すようになっている。
■Cashstuffing動画の一覧(TikTok)
キャッシュスタッフィングは、古くからあるアナログな方法ではあるが、これまではお金の使い方に無頓着だった若者の中でも、節約や貯蓄の意識が高まっていることの効果は大きく、金融業界にとってはビジネスチャンスと捉えられている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・電子キャッシュスタッフィングの開発
・マネー小分けアプリによる家計管理
・ガソリン価格検索サイトによる節約動向
・ガソリン代節約アプリの収益モデル
・インフレで見直される買い物の決済方法
・決済手段別にみた手数料率の高さについて
・海外で注目されるハイイールド預金口座とは
・高金利貯蓄口座の複合管理サービス
・デジタル給与で変化するサラリーマンの生活スタイル
・賢い買い物スタイルとして普及する後払い(BNPL)決済
・人生最後に資金を枯渇させない資産運用シミュレーション
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2023.2.12
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