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衰退小売業から高級品リユースビジネスへの事業転換

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JNEWS会員配信日 2022/11/3

 日本国内には約140万件の小売事業者があり、年間の小売業販売額は約150兆円の規模がある。小売店の生存競争は厳しく、毎年3~4%の店が廃業する一方で、新規店舗のオープンもある。国内全体の消費が伸び悩む中でも、業績が好調なのは、ネットを販路に取り入れている点で共通している。

経済産業省の電子商取引に関する市場調査によると、日本の小売業におけるEC化率は2021年の時点で1割にも達していない。ネットでの買い物は身近になったが、まだ9割以上は実店舗での購入になっているため、新たなEC事業に参入できる領域はたくさん残されている。

《物販系分野 BtoC-ECの市場規模》

■出所:電子商取引に関する市場調査

しかし、検索機能が充実しているネットの自由競争下では、同じ商品は同一の価格になる、という「一物一価の法則」が作用しやすいため、新品の販売は価格競争に陥りやすく、資本力が弱い業者から撤退していくことになる。今後のEC事業では、他店との差別化ができる商品を扱う必要があるが、その有望商材であり、未開拓となっているのが高級中古品の市場である。

現代の消費者は、買い物に商品との出会いや感動を求めており、その点では、どこでも買える新品よりも、個性がすべて異なっている中古品のほうが、掘り出し物を探す楽しみがある。小売業業者にとっても、中古品は程度の良し悪しや人気によって、すべて価格が異なる「一物多価」の取引となるため、中小業者でも付加価値を作りやすい。

中古ビジネスの専門サイト、リサイクル通信の調査では、国内リユース業界の市場規模を2021年の時点で約2.7兆円、2025年には3.5兆円になると推計しているが、現在の中古取引は、ヤフオクやメルカリを中心したネットによる個人間の売買(CtoC)が4割以上を占めているのが特徴である。

《国内リユース市場の内訳》

リユース業界の市場規模推計(リユース通信)

中古の日用品や家電製品などを扱うリサイクルショップは、個人のネット取引に押されて衰退してきているが、高級中古品に関してはその限りではない。有名ブランドのアパレルやバッグ、腕時計、趣味性の高い高級用具の中古取引は年率10~14%で急成長している。

しかし、数十万円~100万円を超すような高級中古品を個人売買することは、クレーム対応の問題や、偽物のリスクもあることから慎重になる。そこで、高級中古品については、個人取引より価格が若干高くても、信頼できる業者を選ぶ傾向があり、プロの小売業者としての活路が見つけやすい。

高額の中古品として人気が高いものには、ブランド衣料、バッグ、時計、楽器、カメラなどがあり、それぞれに愛好者やコレクターの厚い層がある。彼らは、常に人気アイテムの相場や出品動向にアンテナを張っており、掘り出し物を見つければネットで即注文するか、遠方の店舗まで出かけている。このようなコレクター層は国内だけではなく、海外のECサイトまでをチェックする特性がある。

世界からみた日本の高級中古品相場はとても安いことに、一部のコレクターは気づき始めている。世界では、インフレ対策としても、高級コレクションを購入する富裕層が増えており、海外ラグジュアリー情報サイトの「Luxe Digital」によると、100万円以上するような高級中古品の取引額は2018年に240億ドルだったのが、2021年には340億ドルとなり、年率12%で急成長している。

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