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食肉の歩留まり率を高める人材育成とAIサービス

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JNEWS会員配信日 2022/3/30

 インフレが進む中でも販売価格の値上げを極力避けながら、食品業者の利益を確保するには、食品加工の作業おける歩留まり率を高めることが重要になっている。歩留まりは、食材の総重量に対して商品化できる割合のことを指し、廃棄される部分が少ないほど、歩留まり率は高くなる。

牛肉の場合には、牛の生体から頭、皮、内臓などを取り除いた枝肉の状態にした「枝肉歩留まり(枝肉重量/生体重量)」は60%が平均で、さらに枝肉から骨や余分な脂肪を取り除いた部分肉、そこから筋や固い部分を取り除いて、最終的な商品として販売される時の歩留まり率は30%前後にまで下がってしまう。

《牛肉の加工処理と歩留まり率》

精肉された商品になるまでの歩留まり率を決める要因は、肉の品質に加えて、加工者の技量によっても変わってくる。日本では、公益法人として運営される全国食肉学校が、食肉の加工と販売に関する職業訓練を行っており、「食肉販売技術管理士」「部分肉製造マイスター」などの資格認定までを行っている。1年間の通学コースでは、学科480時間、実技1240時間のカリキュラムで、食肉についての専門知識と技術を学ぶが、約200万円の学費がかかる。

食肉を扱う食品会社やスーパーなどでは、BSE(牛海綿状脳症)対策などの安全面からも、食肉のプロを養成する必要性が高まっており、社員を全国食肉学校に入学させるケースも増えているが、プロ人材を育成するまでには時間とコストがかかることがネックとなっている。

全国食肉学校(群馬県)

これらの問題を、テクノロジーで支援しようとするビジネスが海外では成長してきている。2018年にオーストラリアで創業したLumachain社は、AIによる画像認識によって食肉加工の工程を管理して、経験が浅い作業者でも歩留まり率を下げずに処理ができる支援をする他、加工内容から輸送までの履歴もブロックチェーン上に記録することで、食肉の安全性や信頼性を高められるシステムを開発している。

Lumachain

Lumachainの着眼点は、食肉加工をロボット化するのではなく、作業者とAIとが協業しながら、熟練した職人でなくても、歩留まり率の高い食肉加工を実現させる労働改革の部分にある。

世界の食肉市場は200兆円の規模があり、米国内だけでも50万人が食肉加工施設で働いている。米国労働省の統計によると、彼らの平均年収は約25,000ドルと低く専門的なトレーニングを受けずに、食肉加工の仕事に従事している。外国人労働者が多いのも特徴であり、多言語にも対応したハイテク支援システムを導入して、彼らの生産性を高めることが、食料問題の解決策としても重要になっている。

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・ブロックチェーンによる食品取引の仕組み
・コーヒー豆業界で深刻化する産地偽装問題
・コーヒー豆の産地認証をするテクノロジー
・食肉の歩留まり率を高めて収益改善する視点
・人材教育で歩留まり率を高めるAIシステム
・肥料不足で食品価格が高騰するシナリオ
・日本国内で進められる肥料製造の規制緩和
・廃棄食材を有機肥料に変えるビジネス
・牛肉が食べられなく時代の代替肉開発とメタン削減
・コロナ危機で生じる食糧問題の特徴と新フードビジネス
・飲食業のビジネスモデル転換を促す、未来の食事スタイル

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