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単身高齢者を優良客と捉えた賃貸物件の投資利回り

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JNEWS会員配信日 2022/5/11

 日本では65歳以上で1人暮らしをする単身世帯が671万件ある。その中で賃貸住宅に住む割合は35%だが、賃貸高齢者が今後の住居問題に不安を抱えていることは、国の調査からも明らかになっている。賃貸大家の中では、高齢者の新規契約に拒否感を示す割合が6割近くあり、入居中の物件でも、健康に不安を抱えるようになった時に、いつまで住み続けられるかという心配がある。

1人暮らしの高齢者には火災や孤独死などのリスクがあり、家賃支払いの面でも実収入が少ないため、部屋を貸すことに躊躇する大家は多いのだ。

公的な介護制度では、老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などが整備されているが、これらの施設に自ら入居を希望する高齢者は少なく、できるだけ長く1人暮らしを続けたいと考えている。実際に、介護付き高齢者施設では、認知症や寝たきり者の入居率が9割以上を占めており、健康な高齢者が快適に住み続けられる賃貸住宅は少ないのが実情である。

日本の人口推計によると、2040年には全国で65歳以上世帯の40%、東京都では45%が独居になることが予測されており、1人暮らしの高齢者が不安を感じない住宅環境を整備していくことが急務の課題となっている。ビジネスのマーケットとしても、65歳以上の独居世帯は、これから最もボリュームが厚い層になる。

《65歳以上独居世帯の推移》

こうした状況への対応策として、国土交通省は「終身建物賃貸借契約」という制度を平成13年から設けている。通常の建物賃貸契約は、借主が死亡しても契約が終了せずに、相続人に引き継がれることになるが、独居高齢者の場合には、大家が相続人を探し出すことが難しく、契約を解除できないままの状態が続いてしまう。

この問題を解決するのが「終身建物賃貸借(終身住宅)」の仕組みで、借主が死亡した時点で賃貸契約が終了する(賃借権が相続されない)ようになっている。
ただし、大家がこの契約方式を導入するには自治体の認可が必要で、国が定めたバリアフリー基準に適合した物件に限られている。平成28年にはバリアフリー基準が大幅に緩和されたが、実際の普及率は全国の賃貸物件数に対して1%程度に留まっている。

《普通賃貸借契約の仕組み》

《終身賃貸借契約の仕組み》

終身建物賃貸借契約の手引き(国土交通省)

この制度の他にも、高齢者向け賃貸住宅向けのセーフティネットは多数見つけることができ、これまで大家が「高齢者に部屋を貸すことのリスク」と捉えていた懸念材料を払拭することは可能だ。一方で、高齢者を賃貸のターゲットにすることは、若者よりも長期の入居が期待できること、駅近の立地でなくても入居者を集めやすいなどのメリットがある。

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