売らずに資源を循環させるサーキュラービジネスの作り方
小売業のカテゴリーには新品と中古品があり、それぞれを取り扱う業者は利益が相反する関係にある。そのためメーカー系の正規販売店では、中古品が出回る二次市場の存在は認めずに、修理やメンテナンスを受け付けないというケースも少なくなかった。しかし、メーカーや販売店にとっても、環境問題に配慮した売り方をしていくことが責務となり、ビジネスモデルの転換期に差し掛かっている。
顧客には、できるだけ長期で製品を使ってもらいながら、販売側は安定利益を継続的に確保して、寿命を終えた製品が回収されるまでの責任が負える仕組みを作ることが課題である。
トヨタ自動車は、2022年5月から発売する電気自動車(EV)の「bZ4X」を、サブスク・リース専用車として販売することを発表している。車両の所有権はトヨタ側が持ち、ユーザーは月額利用料を払うことで、自動車税、保険代、定期的なメンテナンス、部品交換、修理代など、これまでマイカーの維持にかかっていた費用の大半を回避することができる。
bZ4Xの車両本体価格は、駆動方式によって600万円と650万円の設定があり、そこに諸経費を加えた金額から月額利用料が算定される。EV補助金の適用を受けるためには、4年以上乗ることが条件で、5年目以降は月額利用料が引き下げられて、最長で10年まで乗り続けることができる。EVはバッテリー性能の劣化により、中古車相場が下がる懸念があるため、ユーザーにとっては「購入」ではなく、月額料金を払って乗るスタイルが普及していく可能性は高い。
■bZ4X
ただし、自動車メーカーがサブスクサービスを直接手掛けると、正規ディーラーの販売網が中抜きになってしまうため、トヨタファイナンシャルサービス(66.6%)と住友三井オートサービス(33.4%)の共同出資で、2019年に設立された自動車サブスクリプションの運営会社「KINTO(キント)」が正規ディーラーから車両を仕入れて、定期的なメンテナンスや修理も委託する流れとなっている。
このように製品の販売から寿命までにメーカーや販売店が関与して、製品ライフサイクルを伸ばしていく仕組みは、サーキュラーエコノミー(循環型経済)と呼ばれ、今後は小売ビジネスからサーキュラービジネスへの変革が各業界で起きていくことになる。
サーキュラービジネスの中には、販売方法の変革、製品寿命の延命、使用済み製品の回収とリサイクルという3つの工程があり、それを製品の特徴によってアレンジしていくことで、顧客との長期的な関係を築きながら、高収益の事業に育てていくことが最終的なゴールになる。
小売業のビジネスモデルは、既に成熟期から衰退期を迎えており、単純に商品を売るだけでは儲からなくなっていることは、多くの経営者が気付いている。そこからサーキュラービジネスの転換例はどのように行われているのかを、今回のレポートでは、多数の海外事例から解説しています。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・子ども服を専門としたサーキュラービジネス
・ジーンズをリースするサーキュラー型デニムブランド
・ジーンズリース契約の仕組みについて
・オフィス家具メーカーのサービス業転換モデル
・オフィス家具サブスクリプションサービスの仕組み
・サーキュラービジネスを構築するための三原則
・従量課金で洗濯機をレンタルする料金設定の考え方
・タイヤ業界にみるサーキュラービジネスの転換例
・使用済み衣料の糸を自動溶解するリサイクル技術
・脱炭素マネーを追う金融ビジネスと投資チャンスの捉え方
・修理権法で変革される製品メンテナンス市場の業界構造
・従量課金で収益化するPay-per-Useビジネスモデル
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2022.4.24
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