インフレ対策としてのマイホーム投資と中古住宅再生
コロナ、環境問題、資源不足など複合的な要因により、世界ではインフレが加速している。2021年末時点の物価上昇率は、前年比で米国が7.0%、英国が5.4%、ドイツが5.3%というように、過去30年間の中で最も高騰している。日本の物価上昇はゼロパーセント台で推移しているが、これは携帯電話の格安プランにより通信料が3割近く下がったことが作用しており、それを除くと約2%の上昇がみられる。
生活日用品の他にも、日本で上昇しているのが中古住宅の相場である。レインズ(不動産流通機構)のマーケットデータによると、首都圏の中古戸建住宅は2019年1月時点の平均成約価格は2988万円だったのが、2022年1月には3497万円にまで上昇している。
テレワークの普及によって、住宅に求められる立地や仕様は変化していることから、都心のマンションよりも割安感のある、東京郊外の中古戸建住宅は人気が上昇している。程度の良い物件には買い手が付きやすく、売り物件の数が不足して、相場が競り上がっているような状況だ。
中古住宅の価格は、売り手と買い手の需給によって決まるため、「資産」としての実質価値が反映されている。築5年未満→築30年までのリセールバリューは、マンションが38~48%にまで下がるのに対して、中古住宅は60~65%を維持している。これは、土地の価値が残ることと、中古住宅の相場がマンションほど加熱していないことが理由である。
国土交通省が発表する不動産価格指数によると、2010年の平均値=100とした住宅総合指数は、コロナ前の2019年12月に113、コロナ後の2021年10月には123に上昇している。その中で、マンション指数は165まで上昇しているのに対して、戸建住宅の指数は108で、まだ上昇率が緩やかな段階だ。そのためインフレ傾向の中では、優良な中古戸建が人気化していく可能性が高い。
■不動産価格指数(国土交通省)
インフレ率が高い米国では、中古戸建住宅の売買が活発に行われてコロナ禍以降は年率15%で相場が上昇している。インフレ対策として、金利が低いうちにマイホームを購入しておこうとする買い手が増えている状況だが、住宅の販売方法でも、Instant buyer(iBuyer)と呼ばれる新興の不動産販売業者が台頭してきたことも関係している。
iBuyerは、中古住宅の仕入れ(買い取り)から売却までのスキームを効率化して、低マージンで回転率を高めていることも関係している。これは住宅の流動性が向上することを意味するため、住宅=資産としての価値が高まり、売り手と買い手の双方にメリットがある。ただし、日本と米国では住宅市場の構造が異なるため、日本特有の問題点を解決して、流通改革をしていくことにビジネスチャンスがある。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・国内の中古住宅販売における問題点
・隠れたリフォーム費用の問題点
・中古住宅買い取り→再生のビジネスモデル
・空き家住宅を再商品化するまでの取引フロー
・全国で増えるゼロ円不動産の特徴
・ゼロ円不動産の潜在市場と活用プラン
・金利上昇局面で伸びる住宅ローン借り換え市場
・個人開業も可能な住宅ローン借り換えサポート業
・住宅ローンコンサルティングの収益モデル
・コロナ収束期に加速するインフレの特性と物価高騰
・コロナ新生活を見据えた富裕層の移住行動と別荘開発
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2022.2.25
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