脱炭素マネーを追う金融ビジネスと投資チャンスの捉え方
日本の平均気温は、100年前の大正時代と比較すると約1.3度上昇した。大都市ほど上昇率が高く、東京では3.3度、大阪で2.6度の上昇となっている。気象庁と東京大学が行ったスーパーコンピューターによるシミュレーションでは、年間の平均気温が1度上昇すると、日中の最高気温が35度を超す猛暑日の数は1.8倍に増えることがわかっており、それが異常気象による災害や感染症を引き起こす要因になる。
平均気温の上昇は今後も続く見通しで、国連環境計画(UNEP)では、2100年までに世界全体では2.7度の上昇を予測しており、その時には、平均海面水面が最大1.1メートル上昇して、沿岸部の湿地は2~9割が消失する。それによって、沿岸部の浸水被害は現在の100~1000倍に上昇するなどの影響がある。日本を含めた島国では、国土の何割かが沈むことも、現実的にあり得るリスクとなっている。
地球温暖化の進行を抑えるには、世界各国の協力が必要であり、国連気候変動枠組条約の加盟国(197ヶ国)を集めた国際会議は定期的に開催されている。その26回目として、英国のグラスゴーで2021年10月に開催された「COP26」では、世界の平均気温を産業革命前(1900年頃)との比較で、1.5度以内に抑えることが努力目標として掲げられた。今回の会議では、金融業界の温暖化対策への取り組みが強化されたのが特徴である。
具体的には、世界の金融機関が参加する「グラスゴー金融同盟」が設立されて、脱炭素に向けた新技術を開発する企業に対しては、積極的な資金提供を行いながら、リターンが得られる仕組み作りを強化していく。逆に、環境負荷の高い企業には、資金供給を絞ることにより、金融面からカーボンフリー社会を実現させるスキームを稼働させていく計画だ。
グラスゴー金融同盟には、45か国で450以上の銀行、保険会社、投資会社などが加盟して、その資産運用規模は、130兆ドル(約1京4,800兆円)、世界全体の金融資産の4割に相当する。そのため、民間企業にとっても、脱炭素を意識したビジネスモデルの改革や、新製品の開発を進めていくことが、資金調達の条件として重視されていくことは間違いない。
機関投資家の投資方針により、カーボンニュートラルを推進する企業の株価が上がりやすい仕組みについては、2021.9.24号で解説したが、今後は株式や投資信託から仮想通貨までが、今後は「脱炭素」の影響を受けながら相場変動していくことが予測されている。
(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
■JNEWS会員レポートの主な項目
・金融市場を席巻する脱炭素マネーの特徴
・環境投資に特化したオンラインバンクの開発
・気候変動が仮想通貨に与える影響について
・脱炭素で転換する仮想通貨の相場動向
・省電力化が進む仮想通貨の技術トレンド
・高騰するCO2排出量取引市場の仕組み
・排出量取引相場の推移
・カーボンクレジットを収益化するCO2吸収事業
・CO2吸収事業への投資方法
・株式市場が牽引するカーボンニュートラル経済の特性
・脱炭素社会が向かう資源インフレの方向性
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2021.12.7
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
(注目の新規事業)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)
これは正式会員向けJNEWS LETTER(2021年12月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。