地球温暖化とコロナの影響により、世界の不動産投資家からはスキーリゾート地が注目されている。日本のスキーリゾートは国内需要の低迷が続いて割安感がある中、北海道ニセコでは外国人によるコンドミニアムの再開発が進んでいる。(JNEWSについてトップページ
海外投資家が着目するスキーリゾート地の再開発

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JNEWS会員配信日 2021/8/13

  世界のスキーリゾート地を調査した不動産相場のランキング(2021年)では、フランスのクールシュヴェルが1平米あたり25,300ユーロ(約328万円)と最も高く、2位が米国のアスペンで22,100ユーロ(約287万円)、3位がフランスのヴァルディゼールで20,700ユーロ(約269万円)という相場だ。

対して、日本で唯一ランキングされた北海道ニセコは、32位の1平米あたり7,900ユーロ(約102万円)で、世界の別荘相場からみると、かなり割安な水準といえる。こうしたデータが、海外の不動産投資家が日本の別荘地に注目する根拠となっている。

ニセコアリアでは、倶知安町だけでも300棟以上のコンドミニアム(別荘型宿泊施設)が開発されている。コンドミニアムには、キッチンや家電製品が完備された一棟独立タイプと、区分所有のホテルタイプがあるが、いずれも個人投資家がオーナーとしての所有権を持ち、物件のメンテナンスやオペレーションは管理会社へ委託する方式になっている。

通常のホテル経営と比較すると、外国人向けコンドミニアムは資金回収がしやすく、物件の手離れが良いため、小規模な事業者でも開発を手掛けやすい。ニセコアリアの開発業者は、大半がオーストラリアやアジア系の不動産デベロッパーだが、地元の不動産業者にとっても、物件の仲介案件が増えるため、彼らとはWin-Winの関係である。

一方、自治体には新たな税収入が入るメリットもある。倶知安町ではコンドミニアムの利用者に対して、宿泊料金の2%を「宿泊税」として2019年11月から課税しており、その収入がコロナ前のシミュレーションでは年間3~4億円見込まれている。ただし、自由な開発を容認し続けることは、温泉の枯渇や森林破壊に繋がることから、2022年度以降は建ぺい率と容積率の制限をして、大型物件の開発に規制をかける方針も検討している。

《ホテル型コンドミニアムの仕組み》

ニセコアリアの土地は、5年前と比べて約4倍に高騰していることから、海外デベロッパーの中では、ニセコと同じように雪質が良いスキー場がある富良野や白馬村(長野)に開発拠点を移す動きも出ている。2021年の地価公示では、白馬村の平均地価は前年比6.4%の上昇をみせている。

もともと、長野県白馬村は、1980~90年にバブル景気とスキーブームとが重なったことで多数のホテルやペンションが開発され、地価も最高値で49万円/坪にまで高騰した。しかしその後はバブルが崩壊したことで、地価は3万円台にまで暴落した経緯がある。当時の施設は築30年を経過して老朽化しているが、海外デベロッパーはそれらの物件を安値で買い取り、高級別荘にリノベーションすることにも商機を見いだしている。

新型コロナの感染動向により、訪日外国人数がどこまで戻るかは不透明だが、コロナ後のインバウンド需要は、安全な地域に長期滞在することを望む富裕層を中心に形成されるとみられている。コロナ前の統計で、北海道ニセコを訪れる外国人は、中国、香港、オーストラリア、台湾、韓国、シンガポールで全体のおよそ8割を占めているが、1.5ヶ月以上のロングステイ客は滞在中に90万円以上を町内で使っている。

《ニセコ外国人旅行者の内訳(2019年)》
 ■出所:ニセコ町統計資料

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・富裕層向け別荘物件の販売ルート
・富裕層物件を販売する個人エージェント業
・リモートで組織化する不動産エージェント仲介業
・ポストコロナで渇望するアウトドアレジャー開発の視点
・コロナインフレで広がる貧富格差と富裕層の資産構成
・築古住宅を商品化する買取り再販ビジネスの採算構造
・地方に埋もれたリモートワーク都市と農村物件の収益化

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