個人リセラーとして稼ぐスニーカー転売ビジネス
日本では小規模小売店の数が約100万店舗あるが、1980年代には200万件の店舗があったことと比較すると、その数は半減している。大規模量販店やeコマースの台頭により、従業員が数名規模の小売店が存続できなくなっていることは周知のことである。
その一方で、最近は個人が無店舗で物販を手掛けることは難しくない。ヤフオクやメルカリを利用すれば、誰でも簡単に商品を販売できるし、Amazonマーケットプレイスに出店して、より本格的な物販ビジネスを行う副業者も増えている。彼らの中では、多様なルートから希少な商品を調達して、高値で売却する転売方式のビジネスを展開している例が多く、海外では「Reseller(リセラー)」と呼ばれている。
従来の小売業(Retailer:リテイラー)も、仕入れた商品を再販する形態に違いはないが、消費者が希望の商品を購入するためのルートは多様化しているため、個人のリセラーが稼げるチャンスも広がっている。小売価格は需要と供給のバランスによって決まるため、新品と中古品を含めた転売ビジネスは活況になっている。
【海外で人気化するスニーカー市場】
転売差益を稼ぐ目的のリセラーに適した商材は、高額商品だけとは限らない。
むしろ、安価な商材でもコレクター人口が多く、二次売買のマーケットが確立している分野であれば、リセラービジネスが成り立ちやすい。その具体例として、海外ではスニーカーの転売ビジネスが人気化している。
スニーカーの二次市場が盛り上がっている要因は、世界に愛好者やコレクター人口が多いこと、1個あたりの単価が安いため、一般の若者が趣味を兼ねた副業として手掛けやすい。たとえば、ナイキとシュプリームがコラボして2017年4月に限定発売された「SUPREME×NIKE AIR MORE UPTEMPO」は、正規の販売価格が21,600円の商品だが、2021年の時点では約20万円で取引されている。使用歴のある中古品でも、13万円前後の価値がある。
また、ディオールとナイキ・エアジョーダンのコラボにより、2020年4月に発売された「Air Jordan 1 Retro High Dior」は、発売価格が26万円と高額だったが1年後の二次市場では約90万円で売買されている。
希少スニーカーの購入方法としては、発売当日に店舗に並ぶことと、オンライン購入の2種類があるが、初心者は後者のほうが参加しやすい。
NIKE(ナイキ)は「NIKE SNKRS」という公式アプリを公開しており、その中で新作スニーカーの情報を公開している。このアプリには世界で1億人のユーザーが会員登録をしており、新作スニーカーの発売日にオンライン購入することができる。ただし、限定ものや有名ブランドとのコラボ商品には注文が殺到するため、抽選方式となっており、数秒で売り切れてしまう。これらのスニーカーは、二次市場でも高値が付くため、転売を目的に抽選に応募するユーザーの割合が高い。
さらに、NIKE SNKRSアプリの中には、限定オファーの特典も用意されている。
これは、アプリの利用頻度や注文回数の多いユーザーに対して、特別な購入機会が与えられる特典であり、どのような条件でアルゴリズムが選定しているのかは公開されていないが、レアスニーカーのみを狙うのではなく、日頃からNIKEスニーカーの購入頻度を高めることで、次第にスコアが高まっていくとみられている。
アディダスは、eコマースアプリの他にも、毎日のランニング量を計測してモチベーションを持続させる「adidas Running」や、自分の体力レベルに併せて筋トレワークアウトができる「adidas Training」などのアプリも公開している。コロナ禍では、自宅でトレーニングができるスポーツアプリの需要が前年比で240%以上増加しているが、アプリの利用分析では女性ユーザーの増加が顕著であることが判明している。
そのため、スニーカー投資家の中では、今後はレディースのレアスニーカーが値上がりしやすいと予測している。こうしたスニーカー市場の好調を裏側から牽引しているのが、転売マーケットの存在である。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・中古車市場における希少車転売の動向
・海外で人気化するスニーカーの転売ビジネス
・スニーカービジネスの成長指数
・スニーカー転売プラットフォームの仕組みと収益構造
・若者文化と投資が融合するスニーカー投資の動向
・ニッチを狙うレゴ投資コレクションの着眼点
・金融商品と比較したレゴの投資リターンについて
・LEGOコレクション価格変動の特性分析
・FIRE理論とスモールビジネスを併用した早期リタイア
・高騰するヴィンテージアイテムとコレクション投資テーマ
・成功するアマゾンセラーの特徴と独自商材の知的資産価値
・特定立地で成り立つ特殊商圏の掘り起こし方と着眼点
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・JNEWS LETTER 2021.10.2
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