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コロナ新生活を見据えた富裕層の移住行動と別荘開発

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JNEWS会員配信日 2021/8/13

 新型コロナの感染拡大が起きて1年半が過ぎ、人々の生活スタイルも大きく変化しているが、感染リスクが高い首都圏から、地方への移住を実行できる人の数はそれほど多くはない。東京都の人口は2021年3月時点で1,394万人、前年同月比で9,700人しか減少していない。国土交通省が発表した地価公示でも、東京圏の住宅地は前年比-0.5%の下落幅に留まっている。

《地価変動率の推移(住宅地)》

地方圏の地価も下落トレンドにある中、リゾート地にも大きな変動は無いが、軽井沢だけが前年比で平均5%の上昇となり、軽井沢駅から近いエリアでは、上昇率が10%を超すところも出てきている。軽井沢は、もともと夏の避暑地として富裕層から人気があるが、コロナ禍以降は移住を目的とした買い手が増えている。

《東京近郊別荘地の地価推移(令和3年)》

別荘地の中でも、軽井沢に人気が集中する理由は、東京からのアクセスが良いことに加えて、二拠点居住や移住者の町外者向けコミュニティが形成されていることが大きい。

軽井沢町には、約19,000件の別荘があるが、その中で、軽井沢会、南原文化会、軽井沢しらかば会などのコミュニティが自主的に運営されている。これらの会では、メンバー同士が交流できるテニス大会、BBQ、ワイン会、音楽コンサート、その他の趣味イベントなどが各所で開催されている。イベントの大半は、メンバーがボランティアで協力しながら開催しているが、別荘オーナーには、経営者、医師、著名な文化人などが多いため、異業種の人脈を広げることに役立っている。

軽井沢には、8,941世帯(約19,000人)の住民がいるが、それとは別に住民登録をしていない「別荘人」が共存する形で街が形成されている。町内の固定資産税は、8割が町外者(別荘オーナー)が納めており、それとは別に年間5,500円の家屋敷税も徴収されている。「別荘を管理する仕事」も、地元住民の雇用を生み出しているため、移住者や二拠点居住者を受け入れることが、地域産業として成り立っているのだ。

《軽井沢町の統計データ》

こうした軽井沢文化は、明治時代から育まれてきたもので、他の地域がすぐに真似できるものではないが、これから地方移住やアウトドアレジャーの拠点を開発する上での指針になる。世界では、コロナ禍で山岳地帯の別荘地が高騰する事態が起きている。これは、安全な長期滞在先を求める富裕層が増えているためだが、日本の別荘地は、世界相場と比較して割安感があることから、海外投資家から白羽の矢が立っている。

新型コロナは外国人旅行者のインバウンド景気を一変させたが、欧米の感染者状況と比較すると、日本は「安全な国」と捉えられている。パンデミックが収束に向かえば、日本人気が再燃する可能性が、海外の不動産業者から注目されている。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・海外投資家から注目される日本の別荘地
・世界からみた国内別荘地の割安感(国際比較)
・コロナ社会を見据えたコンドミニアム開発の動向
・ホテル型コンドミニアムのビジネスモデル
・山間地にシフトする富裕層向け不動産市場
・富裕層向け別荘物件の販売ルート
・富裕層物件を販売する個人エージェント業
・リモートで組織化する不動産エージェント仲介業
・ポストコロナで渇望するアウトドアレジャー開発の視点
・コロナインフレで広がる貧富格差と富裕層の資産構成
・築古住宅を商品化する買取り再販ビジネスの採算構造
・地方に埋もれたリモートワーク都市と農村物件の収益化

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JNEWS LETTER 2021.8.13
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