Amazon MusicやSpotifyなどストリーミング配信サービスの台頭で音楽業界の権利ビジネスに変化が生じている。そのため音楽著作権が投資の対象となり、楽曲の配信権のみを売買する取引が加速している (JNEWSについてトップページ
ストリーミング配信で進化する音楽業界の権利ビジネス

JNEWS
JNEWS会員配信日 2021/6/30

 音楽業界では、1990年代には日本国内で年間3億枚あったCDの販売数が、2020年には1億枚にまで減少している。音楽の視聴スタイルはネットが主流になっていることから、有名アーティストの中でも音楽ストリーミングサービスへ楽曲を提供するケースが増えてきた。コロナ以降は、従来の大きな収益源となっていたライブコンサートが開催できなくなっているため、YouTubeや音楽配信サービスで、新たな収益を作っていく必要がある。

もともと「有料で音楽を聴く」ユーザー層は、消費者全体の3割程度だが、最近では無料で楽しめる音楽配信サービスが増えており、さらに好きな楽曲を聴きたいユーザーが有料会員の登録をする流れとなっている。アマゾンでは、プライム会員の特典として約200万曲が自由に聴ける「Amazon Prime Music」を提供することに加えて、5000万曲が聴ける「Amazon Music Unlimited」を月額980円(プライム会員は730円)で提供している。Amazon Music全体では、全世界で利用者数が6,000万人を超している。

Amazon Music

さらに、世界最大の音楽配信サービスとして成長しているのが、2006年にスウェーデンで創業した「Spotify(スポティファイ)」で、現在は170ヶ国以上で3億4,500万人の月間アクティブユーザーがいる中、1億5,500万人が有料会員となっている。Spotifyでは約5000万の楽曲を配信しており、無料会員に対しても聴ける曲目の制限はしていないが、音声広告が挿入されるのが特徴で、広告無しで音楽を楽しみたいユーザーが、月額980円~の有料会員(プレミアムプラン)に移行している。

Spotify

一方、楽曲を提供する権利者に対して、Spotifyではストリーミング再生数に応じた収益分配を行っている。その分配率は、Spotifyが30%、権利者側が70%となっており、対象となる収入には、有料会員のサブスクリプション料金と広告収入が含まれている。そのため、楽曲の権利者(レコード会社やアーティスト)は、無料配信で音楽を聴くユーザーからも、収入を得ることができる。

《Spotifyの収益分配ルート》

Amazon MusicやSpotifyへの楽曲登録は、楽曲ファイルとジャケット画像があれば、アグリゲーション業者を介して誰でも行うことができるため、オンライン配信の世界では、アーティストの中にプロとアマチュアの垣根は存在していない。むしろ、既存のレコード会社などに所属していないアマチュア(インディーズ)のほうが、配信プラットフォームからのロイヤリティ分配率は高く、ニッチなファン層を広げていくことで成功しやすい面もある。

Spotifyでは、楽曲1再生あたり平均で0.5円のロイヤリティが支払われていると言われ、プレイリストのフォロアーが多いアーティストほど、すべての楽曲を通した累計再生数は伸びて、安定した収益が見込めるようになる。つまり、CDの時代とは、ヒット曲の生まれ方や音楽アーティストの収益構造も大きく変化してきている。

《2020年 Spotifyジャパン再生ランキング》

Spotifyには、世界で4万3千組以上のアーティストが楽曲を登録しており、再生数に応じたロイヤリティの公平な分配が行われているが、こうした仕組みの裏側でもブロックチェーンのテクノロジーが活用されている。音楽に限らず、多様なコンテンツの権利が管理できるようになると、アーティストやクリエイターは物販ではなく、権利収入のみで生計を立てることも可能になる。本レポートでは、ストリーミング配信を中心に再構築される音楽権利ビジネスの動向と、投資家が注目する音楽著作権投資の手法を解説しています。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・再構築される音楽権利データベース
・ストリーミング配信で高騰する音楽著作権の価値
・複雑化する音楽著作権の仕組みと買収方法
・音楽著作権を売却する相続人の事情
・歴史的スポーツグッズへの投資手法
・海外で高騰するトレーディングカードの資産価値
・注目されるダンスモーションの権利化ビジネス
・デジタル化されるコレクション資産の暗号テクノロジー
・ビットコイン高騰の裏にある金融ビジネス変革トレンド
・金融リスクから離れた代替投資の開拓とスローマネー

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JNEWS LETTER 2021.6.30
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