ポストコロナ時代に再編される教育ビジネスの勢力図
日本では、幼児から小中高校生がいる家庭の約8割が、学校以外で何らかの学習活動(学習塾や習い事)をしている。学校以外の教育にかける費用は、年収が高い世帯ほど高額になる傾向があるが、年収が低い世帯でも、相応の費用をかけいる。そのため、子供向けの教育ビジネスは「不況に強い業界」と言われてきた。
しかしコロナ禍では、不況に強いはずの状況が激変している。安全面を考えると子どもを外出させたくないと考える保護者は増えており、大手学習塾の業績は軒並み赤字に転落している。
この業界は、毎年3~4月にかけて新年度生徒の募集(集客)を行い、通常授業+特別講習などの補講を加えることで客単価を引き上げていくが、コロナ以降は、集客数と客単価の両方が落ち込んでいる。さらに、教室の感染対策をするための設備投資が新たな負担となり、従来のビジネスモデルが崩壊しつつある。
そのため、在宅型オンライン学習に対応したサービスへ移行していくことが、学習塾や予備校にとって急務の課題になっている。首都圏の中学受験で実績のある「四谷大塚」を展開するナガセ(9733)では、2020年4~5月の緊急事態宣言下で、自宅で受講できるオンライン無償講座を立ち上げたところ、わずか1ヶ月で26万人の申込者を獲得している。
オンライン無料講座は、練習問題をダウンロードしてプリントした後、1講座につき約30分の動画授業で解き方を解説する方式で、生徒は自分の理解度に応じて動画を一時停止したり、進めたりすることができる。動画を見終わった後は、練習問題を解いて理解を深めていく。そして、制限時間が10分間の確認テストを受けて、全問正解しなければ、次のステップには進めない行程になっている。
■全国統一オンライン講座(四谷大塚)
このオンライン講座は、親会社であるナガセが、映像授業を主体とした東進ハイスクールも運営していることから、技術的にも短期間での導入が実現したものだ。
しかし、四谷大塚の正規授業に代わるものではなく、実験的な取り組みとして行われている段階だ。他の学習塾でも、授業のオンライン化は進めているものの、従来の通塾型ビジネスからの移行には、根本的な問題がある。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・オンライン授業と学習塾の不相性について
・躍進するスタディサプリの集客ルート
・変化する入試制度と受験対策のスタイル
・オンライン家庭教師の業界構造
・プロ家庭教師としての開業と集客ノウハウ
・書画カメラを活用したオンライン教育の開発
・中国で急成長するオンライン美術レッスン
・アイデア次第で広がる書画カメラレッスン
・社会人のスキルアップを助ける大人向け家庭教師
・前倒しされるGIGAスクール構想とGoogle主導の学校改革
・教育現場をデジタル化するEdTechサービスと電子デバイス市場
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2021.1.24
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