飲食店舗を捨てたゴーストキッチン転換のビジネスモデル
飲食業界は新型コロナのパンデミックで深刻なダメージを受けた。帝国データバンクの調査では、飲食店の倒産は2020年1月~11月までにかけて736件起きており、過去最悪の状況となっている。業態別にみると「居酒屋」の倒産が最も多く、コロナ前は宴会客に支えられていた店ほど、売上の減少は著しい。
飲食店にとって、毎年12月は忘年会需要の稼ぎ時だが、現状はそれも期待できない状況のため、年が明けた1月から2月にかけては、自主的な廃業をする飲食業者も、相当数出ることが予測されている。飲食業界で働く料理人の失業問題、雇用対策は、日本の食文化を守る上でも重要な課題になる。
一方で、従来の店舗業態を、デリバリー型に転換する飲食業者も増えている。飲食店の配達業務を請け負う出前館(2484)の決算発表によると、2020年8月期の出前事業は、加盟店舗数が約3.3万店(前期比65%増)、料理のオーダー数でも3,707万件(前期比31%増)となっている。
配達機能を自前で持たない飲食店舗でも、Uber Eatsや出前館などのフードデリバリー業者と提携することにより、オンラインで受注した料理を数十分以内に宅配する体制を整えることができる。ただし、デリバリーの委託にかかる手数料は注文代金の30~40%になるため、従来と同じ飲食業のやり方では採算性が合わない。そこで、飲食店がデリバリーサービスを行う上では、店の通常メニューよりも割高な設定にするのが一般的である。
※出前館によるオンライン注文~デリバリーの流れ
一方、海外ではデリバリーサービスに専門化した飲食業が急成長してきている。
その具体的な形が「ゴーストキッチン」や「ゴーストレストラン」と呼ばれる業態で、建物内には厨房設備のみがあり、飲食のスペースは持たない。既存の飲食店がデリバリーサービスを行うのと、ゴーストキッチンとの違いは、1店舗1業種の常識に縛られず、一つの厨房で複数の仮想ブランドを立ち上げて、注文者のニーズを分析しながら多様なメニューを考案できる点にある。
たとえば、イタリアン、中華、日本料理の仮想ブランド(オンライン上の店舗名)が、すべて同じ厨房で調理されている。予約ポータルサイトのメニュー画面からは、3つの異なる店として表示され、注文者からも「同じ業者」とは気付かれないことが、ゴーストの語源になっている。その他にも、ゴーストキッチンには、デリバリーに最適化されたノウハウが次々と考案されており、コロナが終息した後も、新たな飲食業の形として定着していく可能性が高い。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・ゴーストキッチンを形成する業界構造
・不動産投資としてみたゴーストキッチンの特徴
・デリバリー拠点と融合するゴーストキッチン開発
・共用キッチン併設型デリバリーの仕組み
・フランチャイズ化されるゴーストキッチン事業
・デリバリーに特化した人気メニュー開発の方法
・実店舗とゴーストキッチンの採算比較
・デリバリーを起点とした飲食業界再編の方向性
・コロナ危機で急増するクローズド店舗の仲介ビジネス
・3密回避の消費者を取り込むドライブスルーの開発商機
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2020.12.17
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